看護の教育現場を変えるべくアメリカの大学院へ通うちゅおさんへのインタビュー!【海外ナース】

この度記事を書かせていただく私自身、中学生の時に経験した1週間のアメリカ留学がきっかけで、海外への興味がわきました。
今でも海外でのキャリアに興味がある中、看護師資格を持ちながら海外で学ばれているちゅおさんと繋がることができ、インタビューをさせていただくことになりました。
現地だからこそできる学び、社会人になっても挑戦することを忘れないちゅおさんの力強い生き方に迫ります! 海外や大学院進学に興味のある看護学生さん必見です。

\今回インタビューさせていただくのはこちら!/

ちゅおさんこと寺本美欧さん
コロンビア大学の教育大学院修士課程2年目に在籍
twitter▶︎ @change_nursing
blog▶︎看護師ちゅおのアメリカ大学院留学記

Alt=“寺本美欧 看護師”

写真左から5番目

現在の活動について教えてください。

看護師資格を取得してすぐ看護師として働きましたが、2019年の9月に渡米し、今はフルタイムの留学生としてコロンビア大学教育大学院に在籍しています。
現在は、マイナビのメディカルサポネットと医学書院の『看護管理』の2カ所で記事を連載させてもらっています。

メディカルサポネット連載(追記*2020年9月23日に最終回を迎えました!)

看護師を目指したきっかけを教えてください。

もともと海外への憧れがあり、高校時代にアフリカで看護師として活動されている方の本を読んだことで看護職に興味を持ちました。「看護師の資格を取れば世界中どこでも働ける!」という考えから、看護師を志すようになります。
大学の入学式のオリエンテーションで「世界に人が1人いれば看護は成り立つ」という先生からの言葉が今でも心に残っています。

ーどのような学生時代でしたか?

私は総合大学へ通っていたため、看護学科以外の友人とも交流していました。看護の実習に追われながらも、若さを武器にサークルや塾講師のバイトも4年間継続しました。一方で当時は今のように、いろいろな人に会ったり、4年間一度も海外にも行かず、留学とは無縁な生活を送っていました。
ただ、他学部他学科の授業を受けられる学校だったため、国際教養学部の全て英語で行われる授業にチャレンジしていました。留学生と一緒に、授業を受けていましたね。

ーもともと英語は得意だったのですか?

幼少期海外に住んでいた経験はありますが、小学校高学年からはずっと日本に住んでおり、ほとんど日本から出ていません。
ただ、英語を話せる看護師になりたいという思いはあったため、看護の勉強の合間を縫って英語を勉強したり、海外ドラマを見たりしていました。

アメリカの大学院進学までのキャリアを教えてください。

大学卒業後、大学病院のICUにて勤務していたのですが、人当たりが強い先輩が多く非常に厳しい環境でした。そんな環境に身を置く中で、次第に患者さんのことを考える余裕がなくなっていきました。これはまずいなと自身の現状に危機感を覚え、新卒1年目を終える直前に退職しました。完全にニートになってしまい、このまま自分の看護師のキャリアが終わってしまうのかという不安もありました。


2カ月の休職後、地元の病院へ転職しました。そして、新たな環境ではいきいきと働けるようになったのです。同時に自分がいきいきと働ける病院か否か。この違いは何だろうと考える様になりました。明らかになったのは「大人が学び続けられる環境が整っているかどうか」が一要因だということです。

「学び続けられる環境」について詳しく調べていくと、成人教育という学問の領域にたどり着き、専門的に学びたいと思うようになりました。国内だけではなく、視野を拡大して海外に目を向けてみると、コロンビア大学の教育大学院の中に成人学習&リーダーシップという学科があることを発見しました。
「ああ!私が行きたい所はここだ!!」と留学を決意し、1年半ほど働きながら留学の準備をしました。

ー最初の病院に就職し1年未満で退職しようというのは本当に大きな決断でしたよね

自分自身、1年未満で辞めたら看護師としてのキャリアは終わりだという恐怖があったため、なかなか踏ん切りがつかず辞めることができませんでした。
しかし、今自分が転職して新たな環境はいくらでもあるということを実感したからこそ、自分の居場所は1カ所ではないことを学生さんには本当に伝えたいです。
1年で辞めても逃げではありませんし、自分が受け入れてもらえる環境は必ずあります。私自身の実体験があるからこそ、より教育や組織を支えていきたいと思うようになりました。

ー2度目の就職先では、自分の思いを全て吐き出し、それでも受け入れてくれる病院だったことに救われたとのことでしたが、当時の思いを教えてください

インターンの際、「前の病院でやりがいがなくなったので新しいキャリアを始めたいと思って転職しました。」と嘘をつこうと思えばつけたと思います。しかし、2回目も同じ目にあったら、看護という職自体を信用できなくなる怖さがありました。そのため、前の病院での出来事や、自分の気持ち、私は中途採用だけれど新卒のプログラムに入れて欲しいことなどを素直にお話ししました。おかげで病院側は私の思いを受け取ってくださり、私の思いを実現してくださいました。素直に思いを伝えてよかったと思っています。

ー新卒1年目で看護師としての苦しい経験をされたと思うのですが、看護師を続けるという軸はぶれなかったのですか?

看護師としては働きたかったですね。毎朝出勤しないことを望んでいたはずだったのですが、いざ現実になると自分の心にぽっかり穴が開いたような気がしたんですよね。
家に引きこもり、自分は看護が嫌いなのか?人か?環境?何が嫌だったんだと突き詰めた結果、看護が嫌いという結論には一切至らなかったんです。そのため、キャリアは変えずに、違う形でもう一度看護の世界で頑張ってみようと思いました。

ーでは、ちゅおさんにとって退職後の2カ月間は自身の軸を見直す上ですごく重要だったのですね

親には反対されたのですが「日本飛び出す!」と言って、今まで国内ですら一人旅をしたことがなかったのに、一週間ほど1人でニューヨークへ行きました。
人が変わりたいとき、皆さんなぜかニューヨーク選びませんか(笑)自分も何か変われるかもしれないと、ニューヨークにすがりたかったのかもしれません。その時は観光だけで、特に変わったことはしませんでした。ただ、言葉では言い表せないパワーをもらったと思います。今もニューヨークの大学に通っていることにもご縁を感じます。

現在はアメリカの大学院で勉強されているとのことでしたが、現地ならではの学びはありましたか

25歳で初めて実家を出て、はじめての一人暮らしがニューヨークでした。語り尽くせないほど、生活の中の一瞬一瞬が全て学びでした。コインランドリーの乾燥器が熱すぎて服が燃えそうになったこともありました(笑)
ドラマの中で描かれるニューヨーカーは冷たいというイメージとは違い、皆さん見返りを求めず、とても優しくて温かい方ばかりでした。
レディーファーストは関係なくドアを開けるのは当たり前ですし、ベビーカーを押している方がいたら、違う人が持ってあげるなども当たり前の光景でした。私自身も困ったときには、クラスメイトや先生に沢山助けてもらいましたね。give&takeではなく、見返りを求めないMy pleasureの精神だと思います。

日本では絶対に見られない光景もありました。電車に乗っていると、自分の足元でブレイクダンスしている人がいたり、つり革で洗濯ものを干している人がいたり(笑)優しさはあるけどいい意味で干渉しない文化があるとも言えます。

肌の色も髪の色も目の色も違う人が同じ空間に生きているので、悲しい事件が起きることも、ぶつかり合うこともあります。それでも、閉鎖して壁を作って行くのでなく、どうやってみんなで生きていくかを見出していく力に触れられたのは良かったと思っています。

ちゅおさんが人生で大切にしていることは何ですか

一つは自分の軸をしっかり持つことです。自分がぶれたり迷ったりしたとき、自分の軸が判断基準になると思います。

私は3月にコロナの影響で母国に帰ることを勧められました。ニューヨークにもう2度と住む権利は得られないかもしれないという状況下で、日本に帰るのは非常に悔しかったですし、どこにもぶつけられない怒りに苛まれていました。
ただ、その時私の軸にあったのは「日本の看護を自分なりに支える方法を見つけていきたい」ということでした。コロナ感染のリスクやオンライン授業であることを考えると、落ち着いて学べる環境である日本に帰国することが自分にとってよい決断であるという結論に至りました。
実際に現在は時差がある中で、オンライン授業を受けていますし、家族や愛犬と一緒に過ごすこともできています。落ち着いて学業に専念できていると思います。自分の軸に従ってよかったと思っていますね。

Alt=“大学院進学 看護師”

もう一つは人のご縁大切にすることです。

もともと私は人に頼りたくなく、自分で頑張ってしまうタイプでした。しかし、留学すると決めてから本当に多くの方にお世話になったことがきっかけで、人とのご縁のありがたみをより感じるようになりました。留学するには職場仲間の理解、家族の理解等様々な方からの応援が必要です。留学に導いてくれたカウンセラーさんにも本当にお世話になりました。沢山の方々からの助けを借りながらやっと実現できた留学だったと思います。渡航してからも、いろいろな方々に支えられました。改めてこれからも人とのご縁を大切にしたいと思うようになりました。

ー自分の軸が判断基準になるとはいえ、帰国するかどうかは非常に難しい決断ですよね

正解がない状態で自己決定するのはすごく苦しかったです。一度、帰国してからビザが失効してしまうかもしれない状態に陥った際は、帰国したことを後悔しそうになりました。しかし、「自分で必死に悩んて決めたことだから、それで後悔するのはおかしい。この道は間違えてはない。」と自分の決断を信じることができました。もがきながら悩み、自分で決めるということが一番大切だと思います。
きっと、学生のみなさんも大きな決断をする日が来ると思います。自分の軸は何だろうと追求することを大切に、看護師に限定するのではなく、自分としてどうありたいかという問いを持ってみてください。

今後チャレンジしたいことはありますか?

いろいろな人からも聞かれることがあるのですが、率直に分かりませんと答えています。
事実、自分がどのような未来を設計していくのか自分でも分かりません。
ただ、自分はどうしたいかという軸は持っています。また将来を構築する手段は無数にあると思います。今自分で「これだ!」と将来を決めてしまうと、自分の視野を狭めてしまうように思うので、あえてチャレンジできる道はいろいろ作っておきたいと思っています。
起業もしたい、発信もしたい、文章を書くのが好きなので本も出したい、病院に戻って教育者の立場に立ってみたいという思いもあります。自分の道を決めきって自分にプレッシャーをかけるのではなく、挑戦することを大切にしながらもゴールは決めないようにしています。
学生の頃は、社会人になってから留学するなんて全く思っていませんでした。ご縁とタイミングと自分の思いで、切り拓いていくスタイルが自分には合っているなと思います。

Alt=“看護師 大学院”

ー起業もしたいという大きな夢もおありなのですね

アイディアはいくつか温めているので、タイミングが合えば起業したいです。
起業の意味は、世の中にないものを自分で作り出すことです。自分にやりたいこと、自分の軸に合うものがなければ、自分でやるしかありませんよね。

ー新しいことにチャレンジすることに対する恐怖や不安はありませんか。ちゅおさんの自信の根拠は何ですか?

自信のなさを見せないようにしているだけで、実際は一切自信がありませんよ。ただ、私がチャレンジするかどうかの判断基準は「怖いかどうか」です。自分が怖いと感じるところにあえて行くようにしています。「恐れる場所ほど行く価値がある」という言葉を聞いた時、私の中で「それだ!!」としっくりきました。留学1週間前も自分には無理だと思っていましたが、怖いからこその価値があったと思います。自信はないと先程言いましたが、怖いところに行ったとしても、人のご縁を大切にしていればきっと誰かが支えてくれるという自信はあります。それは自分の経験から言えることです。

-怖いところにあえて行く。強いですね。わたしも、険しい道を選ぶようにします!

ただ、自分の健康が大前提ですよ。新卒1年目の時は「険しい道を選ぶ」だなんて思う余裕もなかったので、まずは自分を大切にしてください。

では最後に学生へのメッセージをお願いします!

よく学生さんから今やっておいた方がいいことを聞かれることがあります。学生の皆さんも周りの大人からさまざまなアドバイスをもらうこともあるかと思いますが、そんなにプレッシャーを感じなくてもいいのではないかと私は思います。
私のように社会人になってからでも留学できたように、学生だからこそできることはそれほどないのではないでしょうか。
焦ってあれこれ詰めこんで、パンクして全てが中途半端になるよりは、自分の好きなことをひとつ見つけて突き詰める道を選んだ方がいいと思います。将来に繋がる何かを今やらなければと焦る必要はありません。
令和時代では、看護師の活躍の場はどんどん拡がっていくと思います。看護にこだわらずとも、まずは自分の時間を大切にして、自分の好きなように過ごすことがいいのではないかと思います。

また、「看護学科=看護師になる」ではないと思います。私の大学時代の友達や後輩には、CAさんになった人やテレビ局に入ってアナウンサーになった人もいます。看護師になることにこだわらず、看護師免許を一つの武器にすれば良いと考えます。実習を経験し、病院が嫌だなと思うことがあるかもしれませんが、病院にも様々な働く場があります。いろいろなものを見比べながら進路を決めていくことが大切なのではないかと思います。
話してみたい人がいるのであれば、積極的にコンタクトとることも大切ですよね。
応援しております!

————ちゅおさんのインタビュー内容は以上になります。

特に私が印象的だったことは「ゴールをあえて決めない」という言葉です。私は今まで、将来を緻密に設計することこそが自己実現の鍵だと思っていました。しかし、自分の知っている世界のみが全てではありません。これだと決めつけてしまうことが視野を狭めることにもなってしまいます。だからこそ、自分を取り囲む世界を知り、自分の世界を広げていく中で興味のあることに取り組んでいくということを大切にしたいと感じました。

社会人になってからも挑戦し続けるちゅおさんのようになれるよう、私も自分の軸が何かを追求していきたいです。偉大な先輩ナースのちゅおさんにお話を伺うことができ、自分の視野の拡大に繋がりました。ありがとうございました。

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今回のインタビューは、看護学生のためのキャリア支援プログラムの一環で実施されたものです。インタビュー実施に至るまで、さまざまな方のご協力がありました。この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました!

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