10月11日(月)、のむゼミが、障がい者の方の生活支援を行う学生ヘルパーさんの集いの場として、NPO法人境を越えての副理事である本間里美さんにご協力いただき、学生ヘルパー交流会を開催しました。
*ここでいう「学生ヘルパー」とは、24時間体制で介護が必要な方(特にALS患者さんのヘルパー)を介助している学生たちのことを指しています。
前回のようすはこちら👇
学生ヘルパーは一人で活動することが多く、「相談できる場所が欲しい」「全国にせっかく学生ヘルパーがいるのであれば、みんなと情報共有したい」という思いから今回のイベントが企画されました。
学生ヘルパー活動の成果を自分で振り返ったり、困っていることをみんなで解決する機会にしたり、学生ヘルパー同士の繋がりを作ることを目的に開催しました。
<ゲスト>
学生ヘルパーOG・Sさん(保育士)
学生ヘルパーOG・Cさん(看護師)
学生ヘルパーのお悩み相談会
学生ヘルパートーク①ALSの患者さんのコミュニケーションについて
文字盤でコミュニケーションをとっている。調子の良いときも悪いときもある。文章にならなくて最初から聞き直してしまうこともあり、負担をかけてしまって心苦しい。
学生B)自分も下手くそですが、ご本人の目線が真ん中の「ふ」にあること確認してから読んでいます。それでも焦りは止まらなくて、心の中はため息つきっぱなしです。
Cさん)患者さんによって、「こうですか?」と会話の内容を予測することをとても嫌う方もいらっしゃいます。患者さんの状態に合わせて質問したり、方法を変えたりする工夫が必要ですね。
学生C)うまくいかないと、自分のイライラが伝わっちゃうなと思います。
Sさん)私は1〜2年生の時は夜勤が基本でしたが、うまくできずに玄関で泣いていました。夜勤明けで、学校に行く電車でも泣いていました。技術が身についても、コミュニケーションが取れなかったら信用してもらえないんじゃないかと思って、辛かったのを覚えています。毎日が必死で、3〜4年目になってやっとです。
Aさんの担当患者さんはすごく難しいと思うけど、小さなサインに気づけるようになることは大きな成長ですし、なんとか読もうと頑張っていることは患者さんにも伝わっていると思います。でも、自分が読まないと患者さんの声は誰も拾えないから、「ごめんなさい、でも頑張ります」の姿勢が大事なのかもしれませんね。
本間さん)みんながやっているコミュニケーションってすごいことなんですよ。ある患者さんに言わせれば「念力です」っていうくらいの小さなサイン。本当にみんなすごいよ!誇ってください!
学生ヘルパートーク②シフトの組み方について
学生だけで担当する時間があり、看護の子が実習の時期になることで一気に人がいなくなることもある。旦那さん(主介護者)もいるので空いてもいいよと言ってくれるけど、穴が空いてしまうことが気になっている。
自分が入りたい時に入る人と、調整して入る人もいることにもモヤモヤ。他の人はどんな感じでシフトを組んでいるんだろう?
学生B)事業所の人が組んでいます。シフトの出し方は、基本的に自分の入りたい時でいいよと言われていたので、2日/週で固定しています。独り立ちしているので、少しでも夜勤で入れたらと思って入っています。
学生A)私がシフトを組んでいます。月〜金の放課後と土曜日の夜勤、土日の日勤を5人で回しています。一人当たり、平均すると月7回〜8回入る計算です。基本的に入りたい日に入れるようにしますが、曜日や回数の偏りを無くすのが難しいです。ご家族さんは「大丈夫だよ」と言ってくれますが、どうしても月1〜2回はどうしても埋まらないときがあります。
Sさん)学生として割り当てられた時間を学生で埋めていました。共有カレンダーで各々の希望を書き込んでいき、仮組みをして回数を調整します。共有カレンダーなので、お互いに穴が空いていることを認識して気を遣い合えるところがおすすめです。
それでもダメだったら、同じ大学の子で休み時間に集まって相談したり、卒業生を頼る「卒業生LINEグループ」も活用したりしていました。
患者さんのスケジュールも共有されているので、外出の予定を把握しておいたり、その外出に何人必要なのか聞いたり、学生の習熟度を相談しながらシフト入れることもできます。
学生ヘルパートーク③学生ヘルパーの広め方
学生E)自分がやっていることを簡潔に伝えることが大事かなと思っています。興味を持ってくれないと来てくれないから、興味の引き方や場の雰囲気を感じてもらうことが重要だと思います。持続的に学生ヘルパーを募集するためのチラシを作ろうかと検討中です!
本間さん)深く考えず、とりあえず「見に来てよ!」はいいと思います。とりあえず10人くらい連れて行くのはどうかな?そのうち1人に刺さればいいんです。マニュアル化されるまで誘えない、という考えは捨てていいと思うよ!
Cさん)一番初め、患者さんのところに行ってみて、ひたすら何をしてるか分からないまま見学していました。何をしているか分からないけど、すごい空間にいることだけは分かった。何回か行くことで、だんだんとコミュニケーションが取れるようになり、身体介護への苦手意識も時間が解決してくれました。
Sさん)患者さんと遠いところから研修を初めて、徐々に身体ケアに関わってもらうような工夫をしていました。最後にコミュニケーション。患者さんとの距離の詰め方に戸惑う人も多いですが、1年間かけて、責任の重さやお金をもらって働くことの大切さを伝えていきます。
学生D)自分たちが楽しくバイトの話をしているのを聞いた後輩がきてくれました。
Sさん)入学前に新入生向けの情報が集約された冊子に掲載してもらったり、オリエンテーションの時にサークルの勧誘でチラシを配ったりしていました。自分のサークルも紹介するし、学生ヘルパーのバイトのチラシも配布する。他のバイトが決まる前にやるべし!実習がかぶると難しいから、違う学部・コース・サークルの子に声をかけて、テストや行事がばらけるように開拓するのもおすすめです。
下級生の教室に話しに行くこともしていました。「みんなやってるよ」「えっ知らないの?!」というテンションで誘って、反応がいい子はその場で連絡先を交換しました。
Cさん)友人が患者さん宅へ訪問看護の実習で行き、紹介から始まりました。学年のメールを使って募集したところ、3人くらいから返信がありましたが、家庭の事情などの理由で断られ定着しませんでした。大学は患者さん宅に近かったのですが、難しかったです。
学生E)「時給いいよ!」からとりあえず誘って、感動してもらえたらいいな。そのままハマる流れを目指して!
Sさん)一回で長時間入るから、正直なところ効率がいいですよね。稼ぎたい人はいっぱい入ってくれるのでおすすめ。
本間さん)ハマって、福祉用具のデザインをする会社に就職した美大の子もいたよ!あとは、食堂で寝ていた人に声かけた例も聞いたことがあります。暇だったんだね〜!笑
学生ヘルパー参加者の声
他の方のコミュニケーションの取り方の様子を実際に見させていただき、もっと頑張らなくては、と感じました。自分の悩みとして「学生ヘルパー」の広め方についても先輩方からもいろいろな意見をいただき、「楽しそうにやる」というのは大事な要素だと思いました。
参加された一人一人のお悩みを聞くことができたのでより深く話題が広がり、各々の意見や考えを共有することができたのでとても参考になりました。皆さんが感じているコミュニケーションや、「学生ヘルパー」を広めることについて、また色々な方々からの意見を聞きたいと感じました。本日はこのような交流の場を用意していただき、ありがとうございました。
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