診療看護師(NP)になるには|活躍が期待される背景や将来性も、これを読めば分かる【看たまPicks】

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診療看護師(NP)をご存知ですか?診療看護師(NP)は民間資格であり、医師と協働して一定レベルの医行為を行うことのできる看護師さんです。「ミニドクター」と揶揄されることもあるようですが、診療看護師(NP)の活躍の実際とは?どのような考えのもと推進されているのか、今後期待されていることをまとめました。

【看たまPicks】では、最近の気になるニュースや「なんとなくわかった気になっていたこと」をピックアップし、看護学生が看護学生に向けて分かりやすくまとめます。

今回の記事はこんな人におすすめ!

  • 診療看護師(NP)を聞いたことがあるけど、よくわからない人
  • 診療看護師(NP)に興味がある人
  • 特定行為に憧れる人
  • 超急性期またはプライマリケアの領域で働きたい人

診療看護師(NP)とは

診療看護師(NP)とは、「日本NP教育大学院協議会が認めるNP教育課程を修了し、本協議会が実施するNP資格認定試験に合格した者で、患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」のことです(日本NP教育大学院協議会より)。

つまり、大学院修士課程において医学に関する知識や、特定の医療業務に関する実践を学んだ看護師さん。看護の専門性を生かし、医師と連携しながら、タイムリーに効果的なケアを提供することが期待されています。

NPは、Nurse Practitioner ナース・プラクティショナー(仮称)の略です。アメリカなどでは、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる「Nurse Practitioner(ナース・プラクティショナー)」という看護の資格があり、さまざまな医療現場で活躍しています。しかし、現在の日本の法律では、看護職は医師の指示のもとでしか医行為を行うことができないため、厳密には「ナース・プラクティショナー」に相当する資格は現在の日本にはありません。

一方、日本看護協会は、ナース・プラクティショナー(仮称)として新たな国家資格創設に向け動いています。この制度を確立するにあたっては、日本看護系大学協議会、日本NP教育大学院協議会、日本看護協会の三団体による協働等、様々な取り組みが進められています。今回は、民間資格としての診療看護師(NP)についてご紹介していきます。

特定看護師との違い

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(画像:看護師の特定行為研修ポータルサイト https://www.nurse.or.jp/nursing/education/tokuteikenshu/portal/about/

診療看護師(NP)と引き合いに出されることの多い特定看護師ですが、法律上、「特定看護師」という資格はありません。「特定行為に係る看護師の研修制度(通称:特定行為研修)」を受けると、何かの資格を得られるわけではなく、特定行為*を手順書により実施することが可能になります。

特定行為研修を普及・活用する際に、便宜上「特定看護師」という呼称が使われています。

特定行為研修をうけた看護師さんたちの声はこちら:https://www.nurse.or.jp/nursing/education/tokuteikenshu/utilize/index.html

*保健師助産師看護師法第37条2項「特定行為を手順書により行う看護師は、指定研修機関において、当該特定行為の特定行為区分に係る特定行為研修を受けなければならない」

診療看護師(NP)特定看護師(特定行為に係る看護師)
必要な看護経験臨床経験5年以上臨床経験おおむね3~5年
教育・研修大学院で2年間研修機関(大学・大学院・医療機関)で250時間+15~72時間
できること研修を修了した特定行為
問診・初期診療・検査などの相対的医行為、
教育的な役割など、活躍の場による
研修を修了した特定行為
資格民間資格:日本NP教育大学院協議会認定の資格 (5年更新制)必要となる民間資格はない

診療看護師(NP)は、一般社団法人NP協議会が認定する資格です。カリキュラムに「特定行為に係る看護師の研修制度」が含まれているため、便宜上使われている「特定看護師」という呼称とよく混同されていると考えられます。

診療看護師の成り立ち

アメリカにおける診療看護師(NP)の成り立ち

1960〜1970年代に、医療を求める人の増加と、特に家庭医や都市部の貧困層を担当する一般医(G.P.)の不足に伴い、看護機能をプライマリー・ヘルス・ケア(Primary Health Care)へ拡大する動きによって生まれました。1965年に、コロラド大学でナースププラクティショナープログラムが開発され、診療看護師(NP)の育成と普及が始まりました。

アメリカの診療看護師(NP)は、一般的な看護業務の他に、診断・処方・投薬などの一定レベルの診断や治療を行うことができます。医師の少ない地域では、診療看護師(NP)がプライマリーケアの主軸となるケースもあり、州によっては診療看護師(NP)が独立して診療所を開設することもできます。

日本における診療看護師(NP)の成り立ち

65歳以上の人口が30%となる「2025年問題」を前に、病気を抱えながらも住み慣れた地域で安心して暮らすニーズが高まると考えられています。そこで、大分県立看護科学大学では2005年から診療看護師(NP)の育成に向けてプロジェクトが動き出しました。

2008年には「日本NP協議会」が設立され、大学院修士課程におけるNP教育の標準化・制度化に向けた活動が推進されてきており、続々と会員校が増えてきました。

2015年には、日本看護協会が打ち出した「看護の将来ビジョン」において、「暮らしの場での療養においては、医療的な判断や実施が適時的確になされることが、人々の安全・安心に直結する。将来的には、地域において人々が安全に安心して療養できることを目指し、常に人々の傍らで活動する看護職の、医療的な判断や実施における裁量の拡大を進める。」と掲げています。

2020年9月には日本看護系大学協議会と日本NP教育大学院協議会、日本看護協会で三団体協議を行い、ナース・プラクティショナー(仮称)制度創設に向けて協働していくことに合意しました。ナース・プラクティショナー(仮称)の制度の提案は、大学院での2年間の学びを必要とする国家資格としされています。(参考:ナース・プラクティショナー(仮称)と現行法で定める「看護師」の業について

ポイント

診療看護師(NP)には、暮らしの場(地域・在宅、診療所、中小病院など)で、効果的・効率的・タイムリーなケアを届け、患者さんのQOL向上に貢献することが期待されています。偉い大人たちが制度の確立に向けて動いているところです。

診療看護師になるには

診療看護師になるには、以下に示すようなステップを踏んでNP認定試験の合格をめざす必要があります。

1)看護師として5年以上の臨床経験を積む

2)診療看護師(NP)教育課程がある大学院(修士課程)に進学し、卒業する

日本NP教育大学院協議会が認定する診療看護師(NP)教育課程の大学院で必要な単位を取得したのち、修士論文の審査や試験の合格を経て卒業します。修士(看護学)の学位を得ることで、診療看護師(NP)資格認定試験の受験資格を得られます。

診療看護師(NP)教育課程の大学院一覧

2021年時点で日本NP教育大学院協議会が認定する診療看護師(NP)教育課程の大学院は、以下の11校です。

都道府県大学名特定行為の区分領域
北海道北海道医療大学大学院13区分プライマリケア領域のみ
秋田県国立大学法人 秋田大学21区分クリテイカル領域中心
宮城県東北文化学園大学大学院21区分クリテイカル領域中心
山形県国立大学法人 山形大学大学院16区分プライマリケア領域中心
東京都東京保健医療大学大学院21区分クリティカル領域のみ
東京都国際医療福祉大学大学院21区分両方
長野県佐久大学大学院8区分プライマリケア領域のみ
富山県国立大学法人 富山大学(NEW)9区分両方
愛知県藤田医科大学大学院21区分クリティカル領域中心
愛知県愛知医科大学大学院21区分両方
大阪府森ノ宮医療大学(NEW)19区分両方
島根県公立大学法人 島根県立大学大学院8区分プライマリケア領域のみ
大分県公立大学法人 大分県立看護科学大学大学院21区分プライマリケア領域中心
【参照元】日本NP教育大学院協議会 会員校紹介、各学校のHPより

 

3)日本NP教育大学院協議会が管轄する「NP資格認定試験」を受験する

毎年2月に行われる「NP資格認定試験」を受験して、合格します。

4)国立病院機構による診療看護師の認定を受ける

国立病院機構に診療看護師(NP)として認定されることで、各医療機関での勤務が可能になります。

診療看護師の将来性

診療看護師のお給料

資格に対する手当がついたり(〜60,000円/月・看たまノート調べ)、経験によって基本給に上乗せしたりする場合もあれば、何も手当がつかない場合があり、医療機関・施設によって対応はさまざまです。

診療看護師の活躍の場

療養型病院・介護老人保健施設・医療型障害児入所施設

医師の包括的指示の下で、診療行為を自律的に実施できるため、施設によっては医師の常駐が定められていない場合もあります。そのような状況下で、診療看護師がタイムリーに入居者の体調の変化に対応したり、異変を早期発見したりすることで、入居者の入院が減少するなどの例が報告されています。

病院

大きな病院では、クリティカルケア領域において活躍する診療看護師(NP)が活躍しています。特に外科系では、医師がオペに入っている間にタイムリーに指示がもらえず対応が遅れやすいなどの課題がありました。診療看護師(NP)がいることで、オーダーや処置がスムーズに行うことができたり、チーム医療において各職種との仲介役を担ったりと、医師・看護師どちらの仕事も理解できることで業務がスムーズになり、スタッフ間のコミュニケーションだけでなく患者さんへのケアの質の向上に寄与しています。

一方で、「Dr.の代わりにオーダーを入力する人」になりやすい状況や、医師でも看護師の立場でもあるがゆえに、板挟みになって動きにくい課題を抱えている診療看護師(NP)さんもいらっしゃるようです。病院全体が資格を正しく理解することや、診療看護師(NP)導入にあたってのポジションをどのように用意するかが重要だと考えられます。

診療所

例1)生協浮間診療所

生協浮間診療所では、「NP外来」を設置しています。病状理解・生活指導など、丁寧に時間をかけてフォローする必要があるケースや、比較的シンプルな病態の患者さんを、医師の診察の前に診療看護師(NP)が対応することで、ケアの質の向上はもちろん、効率的な診療が可能になっています。

例2)北海道家庭医療学センター本輪西ファミリークリニック

包括的で深いアセスメントを評価され、「軽症の人よりも、包括的にみたほうが良い患者さんをお願い」されているという田村真美さんの取材記事も必見です。

訪問看護ステーション

例)ケアプロ・佐藤文俊さん

看護師に必要な医学知識をピックアップし、すぐに臨床で生かせるような教育・研修に取り組んでいます。ツイッターでは参考になる資料を発信していらっしゃるのでフォローしておくといいかもしれません。
佐藤さんのTwitterはこちら⇨@fumitoshi_MW

診療看護師(NP)の今後

まずは在宅領域から、法律に基づく制度として診療看護師(NP)を導入する動きが高まっています。在宅ではなく、診療所や中小病院などでの診療看護師(NP)の導入に対しては、医師会の反対が強いと関係者からの取材で分かりました。医師会は開業医の先生の集まりであり、開業医の仕事を奪われることを危惧しているためだとのこと。せめて、在宅(訪問看護・施設看護)の領域だけでも認められるよう、各方面から働きかけがされているようです。

徐々に領域を問わず認められることで、医師の偏在によるさまざまな課題や、雇用や待遇の課題が解決されると考えられます。まだまだNP教育課程を修了した看護師はプライマリケア領域+クリティカルケア領域=583名(2021年4月1日現在)と少数です。NP教育課程の実習協力施設が増加する動きもあり、これから目指す方にはより良い環境で学ぶことができると考えられます。興味のある方は、ぜひ一度診療看護師さんにお話を聞いてみてはいかがでしょうか。

2022.06.30 一部修正

参考資料

・アメリカの診療看護師(NP)
高野 政子:米国のナースプラクティショナーの活動と課題 —米国ナースプラクティショナー学会会長講演より—、看護科学研究 vol. 9, 42-45 (2011)、(https://www.oita-nhs.ac.jp/journal/PDF/9_2/9_2_2.pdf)
大分県立看護科学大学(https://www.oita-nhs.ac.jp/site/gradschool/390.html)

・NPの施策に関して
国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長・志賀隆先生:「NPの増加こそ医療界を救う秘策」https://www.m3.com/news/open/iryoishin/684871?category=interview

日本NP教育大学院協議会:https://www.jonpf.jp/

・活躍の場に関して
日本NP教育大学院協議会チラシ https://www.jonpf.jp/flyer/index.html
公立大学法人 大分県立看護科学大学大学院:https://www.oita-nhs.ac.jp/site/gradschool/390.html

・ナース・プラクティショナー(仮称)について
日本看護協会:https://www.nurse.or.jp/nursing/np_system/index.html
ナース・プラクティショナー(仮称)と現行法で定める「看護師」の業について:https://www.nurse.or.jp/nursing/np_system/conpare/index.html

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