「できると信じている人を信じてサポートする」|ゆるやかで優しいコミュニティの仕掛け人・藤田奈津子さんにインタビュー!

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今回は、複数の企業や団体でPR・コミュニケーターとして活躍する藤田奈津子さんに、これまでの活動と、その活動のなかで大切にしていることを伺いました。

コミュニティナース研究所の公開インタビューとして、看たまノートFacebookページで配信しました(アーカイブがご覧になれます)。後日、編集したものを看たまノートYouTubeでもUPする予定です。お楽しみに!

聞き手/岡 遥  編集/野村 奈々子

ナツコさん
藤田奈津子(フジタ・ナツコ)さん
兵庫県西宮市出身。コミュニティナースカンパニー株式会社ではPR・コミュニケーターとして活躍中。フリーランスとして複数の企業・団体に関わり、情報発信やコミュニティ運営を担う2児の母。

ナツコさんのこれまでのキャリアを教えてください

藤田奈津子さん(以下、藤田):大学時代を京都で過ごしました。今は生かしていませんが、建築やデザインの学部を卒業しました。建築やデザインする人たちが上手く展示したり、会場費を稼ぐためにどうするかを考えることに学生時代から取り組んでいました。

新卒でイトーキというオフィス家具メーカーで働き、オフィスのプランや働き方の提案をしていました。2007年に東京へ転勤し、中学生の時に阪神淡路大震災に遭っていたこともあり、2011年の東日本大震災をきっかけに、オンラインでできるボランティアとして、子育てコミュニティの事務局を始めました。これが、会社以外の活動に関わるきっかけでした。その頃会社では新規事業を担当しており、地方創生に携わる人やコミュニティナースに出会いました。出会いに恵まれ、「こんな人たちともっと関わりたい、面白そう!」という想いが募りすぎて、サラリーマンとして働く暇がなくなり会社を辞めました。

現在の主な活動を教えてください

Alt="コミュニティナース 藤田奈津子"

藤田:携わっている主な団体は、

  • 子育てコミュニティ asobi基地
  • 認定NPO法人 PIECES(以下、PIECES)
  • 上池袋のシェアアトリエ「くすのき荘」
  • 巣鴨・大塚シェアオフィス「Ryozan Park」
  • Community Nurse Company株式会社(以下、CNC)
    です。

会社以外の活動に興味をもった当時から、面白いと思う人が混ざりあう場をつくることに関心があり、一つの例がLIFE design meetup!というイベントです。CNC代表取締役の矢田明子さんと、PIECES代表理事の小澤いぶきさんに登壇してもらい、asobi基地を併設しました。自分の関わるものをいろいろと混ぜ込んだイベントです。

PIECESとは?

Alt="NPO法人PIECES"

藤田:PIECESではイベントを企画したり、寄付を集めたり、寄付者のコミュニティを活性化する仕事をしています。子ども支援のNPOですが、子どもを直接支援しているわけではありません。目指しているのは、親でも先生でもない「市民」としての関わりを育んでいける人を増やすことです。子どもは関係性を自ら選ぶことが難しいので、親や学校から閉ざされてしまうと孤立しやすくなります。孤立をはじめとするさまざまな要因から貧困や虐待が生じるので、まずは孤立する前に安心できる関係性をつくったり、市民性(コミュニティナースの文脈で言うと、おせっかいな心)を養ったりすることから始めようと活動しています。

コミュニティナースと共通するところは、暮らしのなかで専門性を持っている人と持っていない人が混ざり合っている環境をつくる部分だと思います。普段は専門家の人は制度の内側にいますが、私たち非専門職は地域で暮らす市民の目線で専門性を引っ張ってくる。山の登り方は違うかもしれませんが、PIECESも、コミュニティナースも、応援したい団体です。

また、私は自分が何かやりたいというより、やりたい人を全力で後押ししたいという想いがあるので、イベントの立ち上げを手伝ったり、情報発信を手伝ったり、何か困っている人のお手伝いをしています。

Alt="コミュニティナース万博"

例)愛知県・豊橋市でコミュニティナース万博を開いたときの写真。開催まではオンラインでサポートし、当日は会場へ駆けつけました。

何を基準に「やりたい」を選び取っていますか

藤田:何をするかではなくて、誰とするかを大事にしています。「あ、この人とやりたい。楽しそう」と思えば、その人が何かをやりたいと言ったとき、何をやりたいのかを聞かずに一緒にやることもあります。

岡:「この人とやりたい!」の共通点はありますか?

藤田:asobi基地でも、PIECESでも、CNCでも代表は偶然女性ですね。それ以上に、信念があることが共通しているかもしれません。自分が成し遂げたい未来・社会がぶれない人。やり方はその時々で変えていても、何年経っても「こういう世界をつくりたい」と信じている人です。できると信じている人を信じています。

コミュニケーターのやりがいを教えてください

藤田:イベントやコミュニティの事務局を担う理由はシンプルで、会場を一歩ひいたところから見て、どういう組み合わせで何が起きているのかを見ていたいんですね。ちょっとなんか変な癖かもしれません(笑)

この人が繋がったか!とか、ここがこう繋がると盛り上がるんだ…とか。子どもがいる場面では、親子ではない組み合わせができると面白いです。集う人たちの化学反応を見ているのが好きなんです。そこでちょっと人を投げ込むとか、一言添えてみるとか、おせっかいを焼くとかが好きですね。

岡:化学反応という言葉がしっくりきます。その場の環境とか、椅子の位置とかでも生まれてくるものって違いますよね。ナツコさんは建築やデザインを学ばれたこともあり、場全体のデザインも気になるのでしょうか?

藤田:そうですね、建築やデザイン、空間の勉強はしましたが、ディティールがどうこうではなく、どんな仕掛けがあると〇〇を起こせるのか、を考える方が好きかもしれません。建築やデザインに関しては、もっとすごい人がいることを知ったので、もっと得意な人にこうしてほしいと伝えたり、こうしたらいいんじゃないか?と提案することー「やってもらう」ことは上手くなったと思います。

岡:これがあれば…!と気付いてマッチングできることはすごく魅力的ですね!人と人が出会わないと、化学反応は起こらない。そのきっかけをつくることにとても価値があるように思います。地域を巻き込んでいったり、拡大家族のようなコミュニティをつくったりする過程でのキーパーソンになるんだなと感じました。

藤田:ありがとうございます!結構目の前のことしか見れない時もあるんですけどね!こんな場にしたいと描き切らずに、開いてみてのお楽しみ感もあります。

岡:決まった結果がでるものじゃなくて、どのような化学反応が起きるのかなと思う余白も素敵だなと思います。人との関わりは予測ができませんし、自分が楽しめる原動力になるのかなと。

ナツコさんが目指す世界を教えてください

Alt="コミュニティナース 藤田"

藤田:「人と人が繋がり 暮らしの中で 安心して優しい関係を育む」こと。これを身構えずにできたらなと思い、まずは自分の住んでいる地域の自転車圏内くらいで、家族の枠を超えたつながりを大切にしています。拡大家族とかは大げさだけど、親族などの血のつながりではなく、近所のお兄ちゃん・おじちゃん・おばちゃんたちとゆるやかにつながっている状態です。

つながりを生かして、「ちょっと今日私仕事だから子どもを見てほしい」とか、「これちょっと届けてきてよ」とか、ちょっとしたことを頼み合える人が増えていくことを実現したいですね。名前を知っている人とも、知らない人ともつながり、「自分だけで子育てしない」ということを自分が実験台になってやってみています。頼ってもいいんだと思える人が増えていくと、もう少しお互いが楽ちんに生きていけるのになと思っています。

ナツコさんの世界観が実現したエピソードがあれば教えてください

藤田:子ども(現在・小5と小3)が小さいときに、くすのき荘(シェアアトリエ)のメンバーに「今日セミナーがあって、夫も仕事があるから」と預かってもらったことがありました。預かってもらう関係が発展し、小5になった娘がなんとご近所の女子たち(くすのき荘のメンバー・20代)とカラオケに行く出来事がありました。

娘はカラオケに行きたがっているけど、私は行きたくない。お友達とだけカラオケに行かせるのも早いかな…という背景がありました(笑)そこで、ご近所の女子がいつもカラオケに行っていることを知っていたので、LINEで繋ぎ、娘に自分で約束させました。結果、娘は約束を取り付け、カラオケに行くことができました。私の年齢のステージが変わっても、ご近所さんとの関わりに頼ることができるんだなと感じた出来事でした。

岡:たしかに、自分の家は門限が厳しかったので、私の小さい時では考えられません。

藤田:普段はそうです。ただ、信頼している人に任せていたし、次の日は休みだったし、その日は干渉しなくてもいいか、任せようかなと思えました。
その日はYouTubeを見ながら寝落ちしていたらしいです。お泊まりして帰って来ました。

岡:「お母さん」じゃできないことが、近所のお姉さんの力を借りて実現しているんですね。小学校のときに、大人とアポをとって遊びに行くなんてしたことがありません。

藤田:私だけだと、宿題したの?早く寝なさいと言いがちです。親だけだと出来ない役割を–親戚が近くに住んでいる環境だったら別ですが、ご近所さんを子育てや楽しいことに巻き込んでしまいたいです。

Alt="コミュニティナース 木賃アパート"

岡:お子さんが原動力になっている部分はありますか?

藤田:子どもがいる状況の縛りというか、我慢しない、無理しない、欲張らないの3つを念頭においています。3つ目はなかなかできませんが、子育て中だから、母親だからと縛られないようにすることを意識しています。私も一人の人なので、母親の面だけではないことを子どもたちに見せています。一番子どもに近しいし、母親の役割からは逃れられない責任はありますが、「お母さんだって嫌なことあるんだよ〜」とか「今日は口を聞きたくないです」と正直に言うこともあります。

あとは、藤田は旧姓で、仕事してたときからそのまま使っています。戸籍上は別の名前ですが、イベントなど外向けの時は、藤田として活動していることを子ども達は分かっています。人格としても外と中と役割を持っていることを知っているのも面白いです。

岡:なるほど、面白いですね。私は母の「お母さん」の面しか見たことがなく、母が看護師として働いている姿は想像できません。「お母さん」以外の面を見ることは子どもにとっても刺激になりますし、一人の「お母さん」だけど、「お母さん」じゃない姿を見れるのは、今までなかった憧れを抱くきっかけになりそうです。
人生で大切にしていることを教えてください

藤田:見え方は1つではないということを心の中に置いておくことを大切にしています。起きていること・見えていることは、私から見えているものと、他の人から見えているものは違うかもしれない。子どもも、大人もそうだけど、こう見えるけどその背景にあることは計り知れない、その人も分かっていないのかもしれない。「分からないということをおいておく」。なんでも分かると思わないことです。

だからこそ人が集まると予想外のことが起きたり、いろいろな人の見え方が掛け合わされることで新しいことが起きたりします。自分から見えることは限りがあるからこそ、ほかの人の見方を知りたいし、信じたいと思っています。

子育ての側面で言うと、日常の中で狭まってしまってカリカリもするし、こうしてほしいという自分の願いを子どもに押しつけがちになるので、できるだけ閉じないで、外にでて、いろんな眼鏡をかけてみるようにします。これは子育てにおいても自分の人生でも大事にしていることです。

岡:分からないことこそが可能性になっているように思いますし、自分の考えにゆとりが生まれるのかなと思います。拡がりを自分のなかで意識的につくっていることが、ナツコさんのコミュニケーターとしての役割にも発揮されているのかなと思いました。

最後に、看護学生へのメッセージをお願いします!

藤田:コミュニティナースと関わり始め、看護の専門知識を持ってる方々の視点や想いを知る機会が増えて、暮らしの中でも活かせること・専門家だからこそできることなど幅広い知見に関心と尊敬の気持ちを持っています。ご自身が元気で楽しく暮らしていきながら、看護の専門性と自分の関心を掛け合わせて、多くの人の元気をつくっていってもらえるとうれしいです。

ーナツコさん、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
東京都内でも、ゆるやかなつながりを生み、ご近所さんどうし気遣いあったり、よその子もうちの子のように育んだりできる環境は望めるのだと、勇気づけられたような気がします。またぜひ、木賃アパートに遊びに行かせてください。ありがとうございました。

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*このインタビューは、全国ぶっコミプロジェクトのクラウドファンディングのリターンである、【看たまノートであなたを取材】をお選びいただき、実現しました。本当に、応援ありがとうございます!

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