意外と知らない!専門看護師・認定看護師の実際の活躍とは

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2022年9月18日、認定看護師・専門看護師の方をお招きしてトークイベント「\知っているようで知らないかも!/専門看護師・認定看護師の世界をのぞいてみよう!」を開催しました。「認定・専門看護師は授業で聞いたことがあるけれど、実際の活動内容がわからない」、「資格を取りたいと思ったきっかけって何だろう?」といった素朴な疑問から、認定・専門看護師について学びを深めることを目的にイベントが行われました。

今回の記事はこんな人におすすめ!

  • 専門看護師・認定看護師の資格に興味がある方
  • 資格を取得した方の働き方を知りたい方
  • 看護師としてのスキルアップを考えている方

この記事を書いた人

もとさき
食欲の秋ということで、「芋煮」が食べたくて仕方が無い看護学部3年生です!
後期から予定されている領域別実習に震えていますが、このイベントでの学びを活かし、将来のために頑張ってきます!

のむちゃん
看護学科4年生です。いよいよ後期からは国家試験の勉強を頑張ろうと思います。今回は専門看護師・認定看護師さんのお話を聞いて、自分はどのような武器を身につけていくのかを考えてみたいと思いました。

\今回インタビューにご協力いただいたのはこの方!/

立松さん
立松あきさん
愛知県名古屋市にある、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院で活躍する母性専門看護師。800床以上の大きな病院で、たくさんの認定看護師や専門看護師が活躍している。
すべての母と子の出会いを支えたい、と思い活動中。

佐藤さん
佐藤友紀さん
愛媛県松山市出身。国立看護大学校卒業後、国立国際医療研究センター戸山病院に就職。その後訪問看護師として複数のステーションを経験したのち、2015年1月に株式会社AILEを創業。同年4月にえいる訪問看護ステーションを設立。2018年に聖路加国際大学教育センター生涯教育部 認定看護師教育課程を修了。現在は複数の大学で非常勤講師を担いながら、同ステーションの管理者として活躍中。

目次

専門看護師と認定看護師の違いとは?

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参考:日本看護協会(https://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/about_institution)

立松さん(以下、立松):専門看護師は、日本看護協会の専門看護師認定審査に合格し、複雑で解決困難な看護問題をもつ個人、家族および集団に対して、水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識および技術を高めた者のことをいいます。

日本全体には専門看護師は2901名しかおらず(2022年9月現在)、そのうち母性専門看護師は89人です。さらに、愛知県には4人しかいません。とくに母性専門看護師が少ないのは、助産師というだけで母性分野の専門であるからです。どこまで突き詰めるかという問題なので、取得する人が少ないと考えています。倫理的問題の解決や研究に関心がある人には、専門看護師がおすすめです。

認定看護師を目指したきっかけ

佐藤さん(以下、佐藤):新卒で就職した病院では、外科病棟で経験を積みました。この頃、お局ナースからかなり厳しい指導を受け、「自分が働きたい組織を作ってやる」と野心を抱きました。訪問看護ステーションであれば、看護師として独立できたなと思い、1年目のときに訪問看護ステーションの立ち上げを決意しました。その後救急病棟を経験し、一次救命に自信がもてたので、4年目から訪問看護の道に進みました。重症度の高いステーションを経験したり、訪問看護ステーションの立ち上げや後進の育成に携わり、妻の地元で訪問看護ステーションの立ち上げに踏み出しました。

訪問看護ステーションの設立から3年経った頃、自分の発言をより芯あるものにしたいと思ったことと、経営していくなかでの刺激になるものがあればと思い、認定資格取得を決めました。

専門看護師を目指したきっかけ

立松:母から看護師を薦められたことや、死産を経験した話を聞いていて、看護師資格を取得しようと思いました。その後、助産師学校に行って助産師を目指しました。

7〜9年目になると、後輩がたくさんできるんですね。助産師として、「赤ちゃんが生まれることに携わりたかったはずなのに、なぜ中絶に関わるのか。」「死産に対してどう向きあったらいいかわからない。」という相談を受けました。このような倫理的な問題に答えが出せず、後輩からの相談に応えられなかったことをきっかけに、大学院への進学を決めました。第三子がお腹のなかで10ヶ月のとき、大学院進学の試験を受け、第三子の世話をしながら大学院で学びました。専門看護師を取得してからは、女性病棟での看護係長での経験を経て、現在は看護教育支援室で活動しています。

資格を取得してからの変化とは

佐藤:緩和ケアなら緩和、認知症なら認知症についてのプロフェッショナルですが、「訪問看護」の認定看護師のアイデンティティはなんだろうと思っていました。学ぶなかで見えてきたのは、多職種での関わりが円滑になるようファシリテートすることや、チームをいかに支えるかにフォーカスしているのだと思いました。各職種が何を大事にしているのか、どのような思いで動いているのかを知り、考え、患者さんにとって良いケアは何かを俯瞰してみることができるようになったと思います。

立松:母性専門看護師も、「母性」という大きな括りなので似たところがあるかもしれませんね。佐藤さんがおっしゃるように、自分が黒子になり、チームをいかに支えるかを突き詰めることは、認定にも専門にも共通するところなのだろうと思います。

大きな変化は、「これだけ勉強してきた」というゆとりが生まれました。今まではこうじゃなきゃ、こんな助産ケアが必要だ、と強く思う部分がありましたが、勉強を深めていくことで、どのような妊産婦さんに出会っても受け止められるようになりました。これはスタッフに対しても同様で、「悩むあなたでいいんだよ。」と許容し支えられる自信をもてるようになりました。

院内での研究って、どのようなもの?

立松:院内での研究は、臨床で悩んでいること、迷っていることを言葉にするところから始まります。自らの気づきが得られるような関わりをしたり、文献検索に慣れていないスタッフも多いので、一緒にやったりして院内の研究を支援しています。大学院の研究で初めて研究の仕方を学んだのですが、やってみると面白いと思いました。研究の視点が得られたのは、大学院に進学してよかったです。

チームの足りないところにどのように気づき、どのように働きかけているの?

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イベントの様子

佐藤:会社のなかでは、日常会話や何気ないコミュニケーションから、困りごとが浮かび上がってくることがあります。何かよくわからないけど、もやもやしていることがあれば、関係者を集めて言語化する機会を作るなどしています。できるだけ問題を抱えず、巻き込みながら解決方法を探っていくタイプです。

立松:問題点に気づくのが得意でも、実践現場では解決するための働きかけが後回しになってしまう場面はあると思います。そのような場面で活躍できるのが、私たち専門看護師など、横断的に動くことのできるスタッフだと思います。話をじっくり聴いたり、自分で気づいてもらうようなコミュニケーションをとったりして、柔軟性を生かしながら院内の課題を解決しています。

人を巻き込む際には、その人の人間力も関係している?日頃から気をつけていることはありますか?

立松:受け止めることを大切にしているのと、ご縁やタイミングを大切にしています。例えば、私が女性病棟に配属されたときも、高齢者の方を対象に看護することがなかったので認知症やせん妄は得意ではありませんでしたし、コロナ病棟にヘルプで行ったときも、男性の看護は初めてでした。それを単に苦手で終わらせるのではなく、その場で与えられたもの・機会に感謝し、飛び込んでみるということをしています。

佐藤:とにかく、こまめなコミュニケーションや、相手に関心をもち、「好きですよ」という気持ちを素直に伝えるようにしています。「髪切った?」「その靴下、いいね!」でもいいと思うんです。日頃からコミュニケーションをとることで、経営者とスタッフの壁がなくなったり、相手から話を引き出したりして、大事な情報を逃すことがないようにしています。

学生へのメッセージをお願いします

立松:経験したことないもの、予想外のできごとなど、与えられたもの全てのご縁に感謝してみてください。身を任せてみるのもいいと思います!

佐藤:学生にもいつも伝えているのですが、どの現場でも、人が人を看ることで大切なことは一緒だと思います。それが患者さん/利用者さんのためになっているか俯瞰してみる。あとは捉え方を変化させて、楽しんで仕事をしてください!

参加者の声

  • 相手がどんなんでも受け入れられるゆとりができたと言う立松さんの言葉が素敵だと感じました。私は母性看護に興味があったので詳しく知れて良かったのと、地域医療にも関心があったので佐藤さんの話が聞けてありがたいです。
  • 挑戦する勇気がなくても、ご縁を大切にすることをモットーにする。チームメンバーに対するアンテナを張ることが大事なのだとわかった。専門・認定看護師の役割に加え、お二人の資格の特徴、活躍の現状も具体的に見えてきて、充実した内容でした。
  • 専門&認定看護師って将来取りたい人は多いかもしれないけど、実際の活動の仕方や後輩の育成、研究についてを理解して取りたいと言っている人は多いかもしれない。いいケアをしたいだけでは難しい、組織を支える機能があることを知れたことが有意義でした。

まとめ

このイベントに参加する前は、「認定・専門看護師」について各領域のエキスパートな方々というイメージが強く、堅い印象を抱いていました。しかし、実際にお話を聞いてみると、「働いていく過程でもっと学びを深めたくなった」や「自分のやりたい・楽しいを目指していたら資格取得に繋がった」というように好奇心によるもので、自分が抱いていた印象が良い意味で覆されました。また、「人とのつながり」が働いている上で大切であること、知識があるとチームを影の立役者として支えられることなどをお伝えいただき、それらが他職種連携にも繋がっているのだと学びを深めることが出来ました。

「認定・専門看護師」をはじめとして、看護師という職業は様々な働き方があるのではないでしょうか。一学生の身として、今回のイベントは自分の将来を見つめ直すきっかけになったと感じています。自分の目指す看護師像とは何か、どんな学びを深めたいのか・・・今回を機に改めて考えていきたいと思いました。

ーーーー立松さん、佐藤さん、貴重なお話をありがとうございました!

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