看護学生が大学院にストレート進学するには?進学準備や研究室選びのコツ

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2022年10月30日(日)、大学院へストレート進学をされた先輩看護学生2人をお招きして、大学院へのストレート進学についてお聞きするイベントを開催しました!
「大学院に行こうと決めた理由は?」といった、大学院進学を決心するまでの質問から「今どんな生活をしているの?」といった大学院生の生活に関する質問まで、たくさん答えていただきました。臨床経験を積んでから大学院に行くという決断もある中で、ストレート進学について知ることができるイベントとなりました。

今回の記事はこんな人におすすめ!

  • いつかは大学院に進学をしたいと思っている人
  • 大学院進学にむけてどんな準備が必要か知りたい人
  • 大学院生がどんな生活を送っているのか知りたい人

今回の記事を書いた人

あやりん

看護1年生です。日本でもっと性教育を広めたい!と思い、助産師の資格をとるだけでなく様々なことを行いたいと、ストレートで大学院に進学することを考えています。最近は寒すぎてぎりぎりまで布団でぬくぬくしていることが多いです。
目次

自己紹介をお願いします!

ちーかまさん(以下、ちーかま):今は大阪大学保健学専攻の老年看護学研究室に所属している修士の1年。
やりたいことはなんでもやりたい性格。メインの研究以外にも、お手伝いやゼミの参加を含めたら3-4つの研究に携わっています。メインの研究は睡眠に関するもので、地域の高齢者の方を対象に、企業と共同研究して睡眠センサーの開発と睡眠の質をあげることを目的にした量的研究を行っており、サブの研究では、認知症介護者さんへのインタビューをする、質的な研究をしています。
ほかにも、大阪府の国民健康保険加入者を対象にした研究ではプログラミングができる方々と一緒にデータの分析を行っています。地元が岡山で、地域活性化やまちづくりにも携わっています。将来的には博士後期課程に進学することにも興味があります。

かよさん(以下、かよ):文化人類学と看護認知症高齢者のその人らしさを、看護者がどのように認識しているのかを質的研究で明らかにすることや、地域包括の保健師さんがどのように個人の文化を捉えているのかを調べていきたいと思っています。熟練看護職の実践における解釈や判断に関心があります。

葛飾区と千葉市中央区の保健センターで保健師として働いています。また、千葉大学の実習TAとして、看護教育にも携わっています。今後は、将来的には東京か千葉で保健師として勤務できたらいいなと思っています。看護系技官にも関心があります!

大学院進学の決め手・アドバイスをお願いします

ちーかま:大学院はどんな人にもおすすめしたいです。
具体的には、エビデンスのあることをしたい、論理的な思考を鍛えたいと考えているような研究が好きな人はもちろん、他にも保健師や助産師、NP(診療看護師)などのプラスアルファの資格を取得したい人にもおすすめです。私の大学では、大学院にもいきながら臨床で働いている人もいます。

かよ:3年生の10月ごろまで、進学するつもりはありませんでした。保健師として働こうとしていたので、公務員試験の勉強をしていました。
ちょうどこの時期に研究室決めがあり、研究室面談で将来について先生と話したとき、先生から「進学してみてもいいんじゃない」と勧めてもらったことがきっかけで進学を考えるようになりました。

決め手は、自分の将来の幅を狭めたくなかったことが大きいと思います。実は看護系技官に興味があるのですが、看護系技官は7年の臨床経験が必要です。この臨床経験7年のなかに大学院(修士課程)の2年間も含んでいいと聞きました。
大学院での学び(探求する力や研究的な視点など)は政策を考えるうえで有効だと思いましたし、就職後、忙しく働きながら大学院の勉強ができるとは思えませんでした。

ー自分の大学の大学院か、ほかの大学の大学院かで迷っています。

かよ:老年の分野を極めたかったことと、千葉大の老年看護は層が厚かったので、迷いませんでした。大学院の特色がどこにあるのかは情報収集が必要だと思います。

ちーかま:私も、領域によると思います。私は領域にこだわりがなく、どういう雰囲気の中でどういう研究ができるかという視点から探していたので、迷っていました。3年生のときは、人間科学部で看護とは別の視点から健康について考えたいなと思っていました。教授から「うちの研究室にきたらそういう人ともかかわれるし、授業も受けに行けばいいじゃん」とアドバイスをもらったことで、今の研究室に決めました。また、他の学部を受ける際には、外部入学の扱いになり進学のハードルも高まるので、そのまま進学する良さがありました。

大学院試までにこれをやっておけ!を教えてください

ちーかま:研究室決めに関しては、いつ決めてもいいと思います。領域にこだわりがなかったので、全領域の先生にアポ取りしました。「この先生の授業が面白かったな」とか、「ちょっと気になるな」から始まってもいいと思います。領域のなかでも先生が複数人いますし、先生との相性もあると思います。

もし外部の大学院に進学するなら、入試の1年前には話を聞けるといいと思います。私は3回生の頭に京大の先生にアポを取りました。研究については何も分かりませんでしたが、あたたかく対応していただきました。
入試については、英語では辞書を使えましたし、個人的に英語は得意だったので、過去問を数年分だけ解いて志望理由書や面接の対策だけしっかり準備しました。

かよ:各領域の研究室のカラーがあるので、大学によっては領域選びが重要だなと思っています。ストレート進学の人は卒業研究の研究室がそのまま配属先になるというシステムでした。なので、私の場合は学部生での研究室選びに神経を使いました。最終的には、授業の面白さや、大学院に進学した先輩の様子、先生との相性で決めました。

私は大学院への進学を3年生の12月頭くらいに決めましたが、外部進学の場合は、ちーかまさんの言うように早くにアポをとって話を聞けるといいなと思います。
ストレート進学の人は口頭試問型選抜&英語のスコア提出でした。英語に苦戦しつつ、6月の出願に間に合うようにTOEICを受けて、スコアを提出しました。口頭試問の最初の5分間は博士前期過程で取り組みたいことをプレゼンする必要があったので、5月くらいから実習や研究、勉強の合間に進めました。

大学院に進学してから実際どんな生活をしているの?

ちーかま:私は大学がある日とない日で書き分けました。
普通研究室は“コアタイム”といって9時〜17時や一日1回は来ましょうとか決まっていたりしますが私の研究室はコアタイムがありません。授業やゼミがある日に来て、それ以外は自分で研究を進めておくというシステムです。

睡眠時間は基本7時間ぐらいないと昼過ぎぐらいに思考が停止してしまうのできちんと寝るようにしています。大体8時か8時半に起きて朝のうちに家事を終わらせています。掃除したり料理したりすることも好きなので、プライベートに使う時間も大切にしています。

10時ぐらいから研修や研究、授業などを行っています。研修では、外病院へ行き、認知症の方の外来見学やインタビューの手伝いや、実習の手伝いをしています。16時ぐらいに終わってからは、ご飯を食べるまで研究室の友達と話したりゼミの準備で忙しくしていたりします。
私のゼミは社会人ドクターの人が多いので、夜から始まることが多いです。昼にゼミがあることはほとんどないので、夜型の生活になってしまいます。ゼミがない時はバイトを入れることが多く、教授の紹介してくれた看護師と看護助手の間のような仕事をしています。

ちーかま:大学のない日も不規則な生活をしていますが‥2時~3時ぐらいに寝て、昼ぐらいに起きます。土日に研修が入ることも多いので、そういう週は平日に休みを作るようにしています。
午前中は家事をして、昼からはカフェにいったり団体の運営をしたりしています。
夜は動画を見たりゴロゴロしたりしています。

かよ:私の大学院もコアタイムがないので、自由です。日によって全然スケジュールが違うのであくまで一例ですが‥
家と大学の距離が遠いので、1限から授業となると早く起きなければなりません
移動時間は文献を読んだり課題をやったりドラマを見たりしています。
授業を受けた後は実習のTA(ティーチングアシスタント)をしていました。

大学院生は社会人の方も多くコロナの影響もあって、授業はほとんどオンラインで行われています。大学に行かなくなってしまうのはデメリットかもしれませんが、授業は受けやすいです。
研究で先生の相談までにやらないといけないことや週一のゼミでやらないといけないことをしたり、同期で勉強会をしたりしています。
大学に行くことがレアなので、大学に行ったときには先輩に相談するなど有効に使うようにしています。

家に帰ってきたら力尽きているので、夕飯を食べて家事をして、力が残っていたら勉強をしています。筋トレはやらないとムズムズするので、筋トレをしてお風呂に入って寝ています。
アルバイトが入っている日はフルタイムなので、それ以外の予定はほとんど入れず、授業がある日は授業とそれ以外の予定を重ねて生活しています。
大事にしているのは精神的に豊かであること。忙しい中でも息抜きをするようにしています。

アルバイト事情を教えて!

ちーかま:先生のツテで、病院やクリニックのアルバイトを紹介してもらうことが多いと思います。超域イノベーション博士課程プログラムという大学院生向けのプログラムがあります。レポートなどを出す必要がありますが、奨学金がもらえます。

かよ:現場経験のある学生は訪問看護や病院、クリニックで働いている人がいます。経験がなければ、大学の先生からの紹介などがおすすめです。TAは自分の勉強になりますし、実習生の視点と実習を教える立場の視点の違いが新鮮です!

学費事情について教えてください

ちーかま:大学院のお金は両親に負担してもらっています。アルバイト代は貯金しています。大学院生の中には、奨学金を活用している人も、生活費は自分で負担している人も、色々です。親のすねをかじれるうちはかじったほうがいいかもよ!

かよ:働いているので、金銭面の自由はあります。大学院のほうが自由な時間が多いし、資格を活かせばお給料もあるし。私は実家暮らしなので、生活費は問題ありません。学費は、親に学びたい想いを伝えて、負担してもらっています。

臨床にでてから行けばよかった、と思う場面はある?

ちーかま:臨床を経験してからできたほうがよかった、と思う場面はありません。後から大学院進学するつもりの友人は一定数いましたが、夏に久しぶりに話したときは「大学院の勉強をする時間がない」と口を揃えて言っていました。

デメリットは、お金の面でしょうか。「親の脛かじっていいのかな」といっている人はいるけど、後で倍返ししたらいいと思っています!

かよ:現場を出てなんぼ、現場から研究の題材を見つけるものだと思っていました。しかし、グループワークをしていて感じるのは、現場を知らないからこそ固定観念なく柔軟に考えられる点は強みだということです。
また、大学院の2年間で、物事を考える視点を洗練させてから現場に出ることは、看護実践者としての成長スピードも変わると思いました。

あとはキャリアを考える時間として、2年間の猶予がもてる&大学院でいろいろなキャリアを歩んできた人とコネクションが得られることがプラスでした。
マイナスだと思った面は、授業で現場経験談を求められる場面があっても、実習のエピソードしかないことです。

参加者の声

あおやぎさん
臨床経験がなくてもいいのかなと思っていたけど、準備すれば自分のやりたいことができるのかもと思いました!改めて、進学してみようと思いました!

ハルさん
どの領域を研究したいかは決まっていないけど、興味をもって参加しました。ツテや準備が大事だと言うことがわかりました〜!

あやりん
「大学院進学は誰にでもお勧めしたい!」という言葉がとても印象的でした。私はまだ1年生で研究のなにもわからないけど、いろいろなことにアンテナをはって行きたいと思いました。実際にキラキラしている登壇者お二人の姿に強く憧れました!

まとめ

  • 少しでも興味があるのなら、研究が得意でなくても大学院への進学は一つの選択肢である!
  • 外部の大学院への進学を考えているなら早めに研究室訪問を行う。
  • 大学院生になってからのアルバイトは教授がおすすめしてくれることも多い。
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