町での訪問看護の働き方や楽しさ・やりがいを多くの人に広めたい|株式会社きく結び代表・後藤亜利沙さんにインタビュー

株式会社きく結びの代表である後藤さんに訪問看護についてお話を伺いました。病院だけでなく、地域の人々に医療を身近に感じてもらうために行っていることや、田舎での働き方、やりがいなどを教えていただきました。

今回の記事はこんな人におすすめ!

  • 田舎で働いてみたい
  • 既卒はもちろん、新卒でも訪問看護を学んでみたい
  • 一対一でゆっくりと看護を学びたい

今回インタビューにご協力頂いたのはこの方!

後藤さん

株式会社きく結びの代表
後藤 亜利沙さん

専門学校を卒業後、総合病院の内科病棟に勤務し、結婚を機に退職。また、人に寄り添った空間で働きたい気持ちから緩和ケアが気になりホスピスでの勤務も経験。
その後は祖母の介護が必要になり、愛知県豊田市へ移住し、2022年1月に訪問看護ステーションかえるの家を設立。今後は、病院だけでなく地域の人々にも医療を身近に感じてもらえるよう、安心して治療ができる環境作りを目指す。


目次

看護職を目指したきっかけ

後藤さん(以下、後藤):私の母親が20歳のときに事故を起こしてしまい、私が生まれた頃にはもうすでに車椅子での生活でした。そのときに、いろいろな福祉の方々と関わりがあったので、それをきっかけに看護師を目指し始めました。

看護学生時代の過ごし方

後藤:一般的な看護学生じゃなかった気がします。物心つく前から障がいのある子と関わっていました。音楽会というのもあって、参加していました。自分から積極的に参加したりするわけではなかったですが、そこから自然と看護の道へ進んでいきました。

—アルバイトはしていましたか?

後藤:地元を離れて一人暮らしをして看護学生をしていたので、夏休みなどで帰省したときにはラーメン屋のアルバイトをしたり、寮生のときは近くの子どもの託児所に併設されているカフェで少しだけ働いたりしていました。

卒業後のキャリア

後藤:病院奨学金を借りていたので、専門学校卒業後は自動的に総合病院への就職が決まっていました。

結婚を機に総合病院を辞めて、最初は街中に勤めていました。ホスピスで働ける場所を探していたのですが、治療を対象としたホスピス感が強いなって思って。なので、ホスピス単体のところを探していたら今のところを見つけて就職しました。

—就職前と後のギャップはありましたか?

後藤:あまり変わらなかったです。実際に就職してみて、関わりの難しさ、奥深さを感じることができて良かったです。

事業を立ち上げたきっかけ

後藤:祖母の介護が始まり、家族が介護疲れでキャパオーバーになりました。施設への入居を検討していましたが、田舎に住みたいと思っていたので、祖母は私たちがみることになり移住してきました。主人とは訪問看護をやりたいという話もしていたので、山間部の人にも訪問看護を利用してもらいたいとの想いから、きく結びを設立しました。

—(株)きく結びの事業の一つ、「巻き爪専門店」についてもおしえてください。

後藤:実習先で足の爪のトラブルで受診される方が多く、それを原因に歩けなくなり、寝たきりなどADL低下へつながると感じました。健康問題の一つでもあるので、主人と共に足の健康は大事だと思い勉強しにいきました。

—巻き爪の処置に資格は必要なのでしょうか?

後藤:基本的には講義を学んで資格をとり、開業する許可をいただいてから処置ができます。

—田舎で暮らす人のサポート事業について具体的に教えてください。

後藤:職員が田舎へ移住するとなったときに全力でサポートするね!というところです。村を大切にしているので、村長へ挨拶へ行ったり、町内会でご挨拶などのお手伝いをしますね。また、村の環境に馴染むのに時間がかかってしまうかもしれないので、移住しやすいと思ってもらえるようにサポートできたらなと思っています。

訪問看護を始めて苦労したこと、乗り越え方

後藤:訪問看護が使いやすいと思ってもらえるように最初の周知活動をするところが一番大変でした。福祉サービスもほとんどないところだったので、知ってもらう工夫が必要でした。

実際に資料やスライドを作って町内会で説明をしたりしていました。まちの保健室にも訪れ、知ってもらうためにあれやこれや手を打っていました。

—現在、浸透はしてきていますか?

後藤:一年前と比べると、関わりをもった事業所もあるため、ちょっとずつ寄り添ってもらえているのかなと思ってます。町の人も応援してくれています。

—その中で特に印象に残っていることはありますか?

後藤:ホスピスでの経験から、癌の看取りも広められたらなと思っていました。病院でも自宅でもいいという選択肢も生まれます。今回、自宅に帰りたいと癌の人が帰ってきて、家族と一緒に看取らせていただきました。その亡くなるまでの過程が印象に残っています。入院時に余命1ヶ月と言われていましたが、自宅で2ヶ月以上過ごされ、イベントも全て行い家族みんなに挨拶もできました。家に帰ったらこんなに元気になってくれるんだっていう過程が印象的でした。

仕事のやりがい

後藤:基本的にはどれも楽しいです。新しい発見があったり、個人で関わることができます。その人の暮らしの場に入り、本来あるべき姿のご利用者さんを自宅でみるので、病院とはまた違う面白さがあっていいと思います。巻き爪は作業に没頭できますし、来てくれる人とコミュニケーションもとれます。「楽しい」がやる気にも繋がっていますね。

今後の展望

後藤:山間部に町があるため、ほとんど車が交通手段になるんですね。行き先の地域が絞られたり、事前予約が必要なバスもあるのでなかなか往診に行けません。なので、受診付き添いサービスなど、1人でも安心して暮らせる、かつ、その中でもきちんと継続した治療ができるような環境は作っていきたいです。

町の問題だったり、往診の先生が少ないので、これから少しずつ先生を増やしていったり、若い人の支援も増やしたいです。看護学生だけでなく小学生、中学生、高校生にも看護や福祉を知ってもらえるようなお手伝いができたらと思っています。
過疎化が進んでいて、
働く場所がないから街に行く人が増え、地方で人がどんどん少なくなってきています。私たちの会社を作ることによって働く場所があること、安定した給料ももらって暮らしができるように良い循環を生みたいです。

看護学生へメッセージ

後藤:とにかく資格をとって欲しいですね。実習は辛いと思いますし、人間関係に悩まされたりといろいろあるけれど、看護師として働かなければならないわけではないと思います。看護師はユーキャンでは取れない資格でもあるので、資格を持っていることで、生きていく上で有利になる場面もあると思います。お金があると心に余裕もできるときもあるので、頑張ってほしいですね。

—新卒での訪問看護の経験は可能でしょうか?

後藤:街中のほうは新人で訪問看護を行っている人が多いように感じます。訪問看護は病院と違って、一対一でゆっくりと学ぶこともできます。病院の方と比べると経験値的には不安に思われるかもしれないですが、いずれは同じケアをすることになるので、ゆっくりと時間をかけて学ぶことができると思います。

訪問看護は30分〜1時間あるので、新人で訪問看護に行くのはメリットがあると思います。初めは怖いかもしれませんが、大丈夫ですよ。

ー後藤さん、ありがとうございました!

新卒からの訪問看護は難しい印象でしたが、後藤さんのお話を聞いて自分がやりたいと思ったことにチャレンジすることは、早いに越したことはないと感じました。いずれは訪問看護の道も進んで見たいと興味を持ちました!

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ホームページ➤➤https://www.kikumusubi.co.jp/
Twitter➤➤https://twitter.com/yDA5XeO6bYwotdu

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