【ちいここコラボ】「西会津ツアー」合宿レポート

Alt="ちいここ 西会津 合宿"

2022年 8月7日〜13日、福島県西会津町にて、全国各地から集まった医療系学生(総勢約10名)とともに、地域医療合宿を実施させていただきました! 西会津町の方々の暮らし、人の営みに触れ、その中での医療の役割を感じ、まちづくりを勉強させていただきました。

ハルちゃん
今回は“ちいここ”さんとのコラボ記事、「西会津ツアー」の合宿レポートです!合宿ではどんな企画や学びがあったのでしょうか?

~「ちいここ」とは~
『「地域と医療」のすべてがここにある』という意味の略称で、医療系学生のオンラインコミュニティです。オンラインの繋がりに留まらず、医療系学生を対象とした合宿やツアーや イベントを定期開催しています。

ちいここさんのTwitterはこちら👉https://mobile.twitter.com/chiicoco_iryou

目次

開催背景

地域の結びつきが強く、町全体で地域外の人を積極的に受け入れる西会津町にて、地元の人と 、各地から立ち替わり入れ替わり学生がつながる中で、この地ならではの空気間に触れながら医療者としてのみならず地域住民として「地域において生きるととはどういうことか」を探求しました。

合宿の概要

1日目 岩橋さん、星野さんのお話し

午後、学生が現地に到着し、一週間お世話になる町の職員の方々や奥川地区の原住民でパワフルな素敵な岩橋さん、さらに一週間宿泊させていただく、「結」〜yui〜の管理人で地域おこし協力隊の星野さんにもご挨拶させていただきました。

また、西会津町を少し観光させていただきました。夜は作っていただいた美味しいカツ飯をいただき、とても温かく迎え入れていただいた、心温まる初日を迎えました。

2日目 100歳のおばあちゃんのお話し、西会津町の授産所*

午前中は、100歳の元気なおばあちゃんのお家を訪問しました。100歳とは思えないほど、介助もなく生活されており、昔のお話や、今楽しみにしていることのお話、日々の日記を見せていただきながら、たくさんお話をさせていただきました。

Alt="西会津町 授産場"

午後は、西会津町の授産所に訪問させていただきました。施設を運営されている方から、どのような施設であるか、どのような方が利用されているのか、運営の難しさなどをお伺いすることができました。また実際にそこで働かれている方々ともお話をさせていただき、貴重な機会に、参加者も真剣に向き合う時間となりました。

*授産所/授産施設・・・生活保護法を根拠法として、労働力が比較的低い方に対して、自立を助けるための仕事や必要な技能を身につけるための施設。西会津町授産場は、社会事業授産、就労継続支援B型事業、共同生活援助事業(グループホーム)を運営している。

夜は西会津国際芸術村にて、矢部さんにご講演をしていただきました。

Iさん
地域医療として利用できる社会資源は限られているものの、対象者の個別性を重視することで使い方が無限に広がることを学ぶことができました。

3日目 午前 ケーブルテレビの放送局

午前中は、ケーブルテレビの放送局を訪問させていただきました。
西会津はケーブルテレビがほぼ全世帯に普及しており、町民に道路情報やお悔み、サルの出没情報、小中学校の卒業式の中継などの情報を発信しています。

体操や料理番組には町民が出演しており、健康的な食事について役場に勤める管理栄養士さんが紹介するコーナーもありました。成人式に合わせて、小中学校のイベントで撮影した映像を個人ごとに編集してプレゼントする取り組みも行っています。小さな自治体ならではの地域に密着したメディアについて知ることができました。

3日目 午後 地元診療所・介護施設の見学

Alt="ちいここ 西会津 合宿"

西会津町小規模多機能型居宅介護施設「高陽の里」では、施設の概要から現状についてのお話をお聞きしました。

常設ではなく、定期的に医療者の方が診療所を開設している奥川診療所も見学しました。日常の内服薬の処方などを求めて訪れる地域住民の方々のライフラインとして、大きな役割を果たしていることが分かりました。

Oさん
診療所での91歳のお婆ちゃんとの出会いがとても印象的でした。その理由として、僕にとって「支える」という意味を再定義することができたからです。僕は仙台の病院で歩くことが大変そうなご高齢の方を見かけると、自分の腕を貸すようにしています。そしてその行為はとても喜ばれます。しかし、91歳のお婆ちゃんに同様の行為をしたところ、「要らない!!!」と強く拒否して下さいました。このカルチャーショックから学んだことは、支えるという行為は他人のできることを奪うのではなく、やりたいを叶えるための手段であるべきだという気づきに変わりました。

夜は、医師の鎌田一宏先生にご講演していただきました。現在は奥会津にいらっしゃいますが、過去には海外での勤務などあらゆることに挑戦されてきたことを伺いました。

4日目 奥川元気クラブ

西会津の奥川地区の奥川元気クラブに参加しました。この日は、普段の身体を動かす時間と、さらに絵を見ながら西会津の文化を振り返り、おばあちゃんたちが実際に体験してきた話をたくさん教えてくださいました。

夜は、医師の菅家智史先生にご講演いただきました。「総合診療医を探さなくてよい社会」を目指されている先生の想いもお伺いすることができました。

5日目 中町語ろう会への参加

Alt="西会津町"お昼は、西会津の8月の郷土料理である鯨汁としそおにぎりを、作り方を教えていただきながら、一緒に作りました。とても美味しくて楽しい時間となりました。

Hさん
ペットのわんちゃんが亡くなったと仰っていたおばあちゃんが、本当は行かないつもりだったけど今日来てよかった、ちょっと元気が出たとおっしゃっていたのが嬉しかったです。

夜は、会津大学産学イノベーションセンター客員准教授でもいらっしゃる藤井靖史先生にご講演いただきました。地域のデジタル化について、幅広い視点からお話をしていただきました。

Nさん
効果的なまちづくりのためには、机上で考えるだけではダメで、地域住民のニーズをより近いところで拾える関係性を構築することが重要であると感じました。

6日目 限界集落を訪問

弥平四郎集落へ訪問させていただきました。人数も少なく、高齢化も進んでいる集落でしたが、地域としては孤立して居ましたが、その地域ならではの互助の力の強いことを感じさせていただきました。

最後は、西会津町の薄町長とお話をさせていただきました。西会津の方たちへの想いや、町の人が健康でいられるために町長としてのやってきたことなどをお話をお伺いすることができました。

7日目の最終日は、合宿の振り返りをして解散しました。

合宿を通しての気づき・学び

Yさん「視点が180度変わりました」

授産所では、精神疾患をもつ利用者さんと出会いました。
授産所の利用者さんとのコミュニケーションのなかで、私はある話題を本当のことだと受け取ったのですが、所長さんが「妄想の可能性がある」とおっしゃったときにハッとしました。
精神疾患の病態を知識としては理解していても、患者さんと接するときのアセスメントとしての自分の考えの幅がないと意味がないということを感じました。大事な気づきでした。

これまでは人口減少や少子高齢化に対して悲観していましたが、
西会津のまちで1週間を過ごしたことで、時代の流れに無理に逆らおうとするよりも今ある暮らしに目を向け、その中で暮らしをより良いものにしていくにはどうすればいいのかを考えるべきだと気づきました。視点が180度変わりました。

合宿が終わってから田舎に対する見方が変わったことで、自分の将来像を言語化することができてきました。「自分が将来どうなりたいか。どんなことがしたいか。」を考えることはできてきたので、これから「どうやって実現するか」を考えていきたいと思います。

Sさん「本当の幸せは医療だけがもたらすものではない」

西会津での滞在を通して、当初は地域医療の現場を見たいと思って現地へ向かったものの、一番に心に残ったのは地域の人々の温かさでした。地域医療という言葉が独り歩きしているようなこともありますが、あくまでもその現場には人の営みがあり、医療はあくまでもその人たちの幸せをサポートする一つの手段に過ぎないということを痛感しました。

普段から医療の分野に触れ続けていると医療のことを第一義的に考えてしまいがちであるが、本当の幸せは医療だけがもたらすものではないということは、今後の自分の人生において改めて胸に刻んでおきたいと感じました。総じて、西会津を訪れた3日間は本当に人間的に学びの多い濃密な時間でした。

Nさん「今後も地域に出ていきたい」

高齢者が抱えている疾患の多くに整形外科系の疾患があり、総合診療医となる上で必ず整形外科領域の知識は必要であると理解しました。

高齢者は想像以上に侵襲的な治療を望んでおらず、例えばひざの手術なども医師や家族からの勧めがあっても今後やりたくないと強い意見を持っている方もいます。「高齢者に医療費が高くかかっている」というのは家族などの望みを反映したものであると感じ、どのように死を受け入れるかについての対話が家族内でなされることの必要性を感じました。

今回の経験で、街づくりが何たるか、医療はどうかかわることができるのか、など少しだけイメージがわくようになりました。地域に出る活動を今後も継続的にやっていこうと思います。

Alt="ちいここ 西会津 合宿"

合宿運営側より

2週間の中で、サポーター学生と参加者2、3名ずつが数日間入れ替わって西会津町での暮らしを体験するという、イレギュラーながらも「風の吹くような」西会津らしい受け入れの形を実現していただく事となりました。

想像以上の応募があり、スケジュールの構成や参加者の調整に苦慮しました。また、実際には定員の都合上参加を見送ってもらわざるを得ない参加者もおり、その点で心苦しさが残りました。

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