2023年3月、福井県は福井市・南越前町・高浜町にて、2泊3日の地域合宿を開催しました。北は北海道、南は九州・沖縄まで、全国から10名の医療系学生が集まり、診療所やゲストハウス、県庁、お寺など医療にとどまらない様々な場所を視察しました。暮らしに寄り添い、地域を盛り上げている方々との交流から、幅広い学びを得る3日間でした。
~「ちいここ」とは~
『「地域と医療」のすべてがここにある』という意味の略称で、医療系学生のオンラインコミュニティです。オンラインの繋がりに留まらず、医療系学生を対象とした合宿やツアーや イベントを定期開催しています。
ちいここさんのTwitterはこちら👉https://mobile.twitter.com/chiicoco_iryou
開催背景
過去にも合宿として訪れたことのある福井の地。福井県で活躍されている先生や地域の方からの学びを、今年もより多くの仲間たちと学ぶべく企画を決意しました。今回はさらに行政にまで領域を広げて地域に身近な観点からマクロの観点まで幅広い視点で学ぼうと企画しました。
合宿の概要
南越前町にて
①今庄診療所で外来見学・訪問診療への同行、今庄の街歩きを通したフィールドワークで今庄診療所がいかに地域に溶け込んでいるかを目の当たりにしました。地域住民にとっての診療所の存在や今庄診療所の新野保路先生が地域でどのような取り組みをされているのかを伺いました。
②地域まるっと体感宿「玉村屋」さんでの宿泊の中で玉村屋さんの運営をされている中谷翔さん・古田崚さんからその人生の歩みを通して南越前町での取り組みを教えていただきました。
高浜町にて
③赤ふん坊やでお馴染みの井階友貴先生のワークショップを受けた後、先生とともに高浜町の明日研究所の名里さんからお話を伺いました。
④若狭高浜病院にて海透優太先生・安原大生先生より行動経済学✖️地域医療・自分のためのメンタルヘルスについて勉強させていただきました。
福井市にて
⑤福井県庁にお邪魔して健康福祉部保健予防課の宮下裕文先生より行政と医療の関わりについてお話を伺いました。
⑥大安禅寺で副住職をされている高橋玄峰さんより死生観についてご法話いただき、全員で坐禅を体験しました。
合宿を通しての気づき・学び
Sさん「憧れの気持ちがあふれっぱなしの3日間でした」
3日間すべての企画で、出会った人たち全てが素敵で、またとない経験ができました。知識不足や初対面の人たちと過ごすことへの不安もありましたが、一歩踏み出して参加して本当に良かったです。なかでも学外の医療系学生と会えたのが刺激的でした。それぞれがもっている将来展望やその人の軸を知って、憧れの気持ちがあふれっぱなしの3日間でした。今回出会った人たちに触発されて、自分も行動して努力して経験したことや考えたことを発信したいと思うようになりました。これまで自分の考えに自信がなかったり他の人を羨んだりして、自身が発信するのは少し怖かったのですが、今回の合宿を通して「経験したことを自分でも忘れたくない」「人にシェアしたい」という思いが強くなりました。
Kさん「患者さんの普段の生活に目を向けることの大切さに気付きました」
合宿を通して自分の視野の狭さに気づき、もっと患者さんや地域の暮らしについて理解したいと思うようになりました。授業が進むにつれて目の前の患者さんを疾患名で捉えるようになってきてしまいがちですが、普段どんな生活をしていてどんな価値観を持っているかを今後の学習で意識していきたいと思います。また、まちづくりについても興味が湧いたため、行政や病院から健康的なまちづくりをするためにどのように関われるか、もっと学習を深めていきたいと思います。
Nさん「町づくり・町おこしの観点での地域医療がとても興味深い」
正直、今回の合宿に参加するまでは地域医療にあまり興味がありませんでしたが、今回の合宿で、様々なアプローチで医療を行っている人の話を聞き、町づくり・町おこしの観点での地域医療がとても興味深く思いました。また、地域包括ケアシステムを担うそれぞれの方の話を聞くことができ、それぞれの医療に対する気持ち、町に対する気持ちを聞くことで、それぞれに役割があり、どの仕事も町の医療にとって、ひいては日本の医療にとってとても大切だと身をもって体感することができてよかったです。
普段の学生生活では忙しすぎて、自分以外に興味を持つ機会は少ないですが、合宿中は、普段は言いづらいみんなの本当の夢を聞くことができ、新しい価値観に会い、自分の夢を語ることで、自分の価値観がブラッシュアップされたと思います。
Yさん「立体的に医療を考えられるようになりました」
途中参加も含めて、熊本、長崎、福井の全てのちいここ合宿に参加しましたが、現場から理論、行政まで、また福祉も含めて、本当に様々なフェーズ、カテゴリーを学ぶことができ、立体的に医療を考えられるようになりました。
また、参加メンバーの多くが「地元のために何かしたい」と考えており、自分にとって刺激になりました。
今後は北海道の医療について勉強し、道民の健康と幸せに寄与できる人間になりたいと思います。
Iさん「地域医療は地域で行われている1つの事業」
福井の地域医療について様々な立場・視点からお話を聞くことができ、色々考えることができた合宿でした。地域医療とは「地域に必要とされる医療を提供する」というざっくりとしたイメージしかありませんでした。今回の合宿を通してその考えは変わりませんでしたが、地域医療を成すために多くの人・立場があるということが見えました。また、地域医療は地域で行われている1つの事業であり、地域に住む人たちの協力が必要なのだろうと感じ、コミュニケーションを取ることの重要性に改めて気づかされました。
私は進級に必死でこのような企画に参加することは少なかったのですが、低学年のうちに地域について考える企画に参加している学生をみて、自分もできることを少しでもいいので取り組んでいきたいと思いました。ふとした瞬間にこの経験を思い出し、学ぶ推進力にしていきたいです。そしてゆくゆくは自分の地域を見つめ直し、魅力を発見して、発信していきたいです。
ちいここ運営より
本当に多くの方々に受け入れていただきながら今回の合宿を実現することができました。私たち学生にとって何を学びたいのか、どこにワクワクするのか、ここでしか学べないことは…と丁寧に一生懸命一緒に考えてくださる皆様の姿に胸が熱くなるばかりでした。地域に目を向け実際に体感してみるということを、分野を跨いで医療系学生同士体験が共有することで、学びが二倍にも三倍にも膨らむように感じました。今後も、医療系学生が自由に自分の道を模索し合える機会を運営していきます。
またこの素晴らしい福井の町々に戻って学びたいです。ご協力下さった皆様本当にありがとうございました。
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