今回の記事は、「医療法人社団オレンジ」にインターン生として飛び込んだ、当時大学2年生のばたこさんのインターンの足跡をご紹介。ご本人のnoteに掲載したものを、特別に看たまノートに出張掲載していただきました。
目次
7日目 吉田詩織さんのお宅に訪問
この日は訪問看護で、下田さんとご一緒し、吉田詩織さんのお宅に訪問しました。
詩織さんは、脳性マヒのために自身の力で日常生活行動を実行することができず、ヘルパーさんや訪問看護の力を借りて生活しておられます。
言葉も昔は話せなかったそうですが、練習を重ねることでなんとか言語を10歳の頃に獲得し、今ではとても流暢に会話することができておられました。
幼い頃は病院で過ごされ、今は一人暮らしをしておられます。そのまま病院や施設にいて必要なときにサポートを得ることもできた中で、何故一人暮らしをしようと思ったのか伺いました。
「病院から抜け出したかった」と話す詩織さん。
病院ではどうしてもケアが中心になってしまい、生活の部分がないがしろになってしまう。
「ご飯の時間です。さあ、食べましょう」ではなく、「ああ、お腹すいたな。何か食べよう」という暮らしをしたい。
そんな思いから、詩織さんは一人暮らしをすることを決めたと仰っていました。
私はこのお話を聴いて、どんな人にも共通するお話だなと思いました。
病気になったからといって、ずっと病院にいたくない。
ケアもしないといけないけど、それでも生活を優先させたい。
自分らしく、自分のやりたいことをやって好きな場所で生きたい。
こういった思いは誰にだってあるのではないでしょうか。
そんな思いを実現するため、オレンジさんは奔走されているということを学びました。
治療にとどまらず、生活も総じて考えていく。
この考え方を、将来私が働くとき大事にしたいです。
詩織さんの強み
お話しする中で、詩織さんの強みを伺いました。
詩織さんの強みは、「人の話をじっくり聞いて、その人の強みや良さを見いだすこと」だと仰っていました。
私のややこしいプロフィールも一発で覚えてくださった詩織さん。
相手のことを良く知ろうと意識されていることが伝わってきました。
相手に興味を持つ。これはコミュニケーションの基本だと思います。
しかし私は、本当にその人に対して興味を持っているのか時々わからなくなります。
そんな自分が嫌で自己嫌悪に陥ることが多々あります。
そんなお話をすると、詩織さんは、
まずは、自分のことを好きになること、褒めること。
私は自分のことが大好きで、生まれ変わってもまた私になりたい。
と、にこやかに、あっさり仰いました。
無敵だな、と思いました。
嫌な部分も含めて、自分。
そんなところもまた愛すべきだということに気づかされました。
そして、そんな愛すべき自分の「やりたい」を諦めないこと。
詩織さんは、以前、カツ丼が食べたくてお店に行きました。
しかし、そのお店の入口にはスロープがなく、車椅子で入ることが難しかったそうです。
そこで諦めないのが詩織さん。
お店の人や近くに居た人に手伝ってもらい、入店し、カツ丼を食べることができたそうです。そしてとっても美味しかったそうです。
スロープがない、段差があって車椅子では入れない。
そんな理由のために、自分のやりたいことを諦めるくらいなら、どんどん他人を巻き込んで、「やりたい」を叶えていく。
そんなお話も伺い、勝見さんが「詩織さんはすごい人だ」と仰っていた理由がわかった気がしました。
すぐに自分の価値観に落とし込むことは難しいです。
でも、ちょっと意識することならできます。
自己嫌悪に陥りそうになった時、すぐに詩織さんのお話や笑顔を思い出し、強く乗り超えていこうと思いました。
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