「自分が何に幸せを感じるのか」を追求した先で掴んだ、ベンチャー企業での挑戦|總山萌さんにインタビュー!

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今回は、新卒からCommunity Nurse Company株式会社で働く總山萌(ふさやま・もえ)さんを取材しました。もとは養護教諭を目指して筑波大学に進学した總山さん。どのような経緯で今のキャリアに行き着いたのか?仕事への想いや今後の展望を伺いました。

今回の記事はこんな人におすすめ!

  • コミュニティナースに関心のある方
  • 養護教諭を目指している方
  • 医療機関以外への就職・転職を考えている方
  • ベンチャー企業に関心のある方

今回インタビューさせていただいたのはこの方!

總山萌(ふさやま・もえ)さん
Community Nurse Company株式会社「地域おせっかい会議」マネージャー。
岐阜県出身、筑波大学医学部看護学類卒、島根在住。取材当時24歳(2023年3月)。
身長170cm。高校時代はバスケ部。最近三味線をはじめた。

今回の聞き手・ライターはこちら!

野村奈々子(のむら・ななこ)
愛知県出身、岐阜大学医学部看護学科卒。總山さんとともに、コミュニティナースの本を全国の看護学校に届ける「全国ぶっコミプロジェクト」を遂行。このときのご縁が看たまノートでの活動につながっている部分もあります。

目次

養護教諭を目指したきっかけを教えてください

總山萌さん(以下、總山):高校2年生のとき、保健室に登校していた期間がありました。母と死別してしばらく経ち、父親が再婚して家庭環境がぐらついた時期があって、その反動で心身の体調を崩したからです。
そのときお世話になった保健室の先生は、私が自分の殻の中に閉じこもっていても、ずっと待ってくれました。自分も養護教諭になり、関わる子どもにあんなふうに寄り添いたいなと思ったことがきっかけです。

学生時代のさまざまなチャレンジについて教えてください

野村:1年生の頃から、たくさんの場所に勉強に行っていましたよね。どのような思いで学外に飛び出していたんですか?

總山:高校の時は自分の殻に閉じこもることが多かったぶん、「大学生になったらやりたいこと全部するぞ!」というモチベーションが大きいと思います。一人暮らしもできるようになったし、仕送りしてもらったり、勉強しながらバイトもしたり。資格を取るからには誰よりも誇らしい養護教諭になりたいと思っていたので、学校では看護のことを、外では教育のことを勉強しようと思って情報を集めていました。

總山さんの行動歴(参考:https://note.com/fusafusa_moe/n/n6f7e64038415
1年生 ・学童アルバイト
・3週間カナダ留学
・インドのマザーテレサの施設でボランティア
・学類内での養護教諭選抜に合格
2年生 ・EDUTRIP in Denmark (教育機関視察ツアー)
・EDUTRIP in 関東
・養護教諭ボランティア1校目
・被災地ひとり旅&ボランティア(石巻・女川)
3年生 ・教育系セミナーと学校保健系学会行きまくり
・養護教諭ボランティア2校目
・EDUTRIP in Korea
・島根県益田市の社会教育を見に行く
〈休学中〉
・Community Nurse Company株式会社でインターン
4年生 ・「全国ぶっコミプロジェクト」として、
全国の看護学校にコミュニティナースの書籍を届けるプロジェクトとクラウドファンディングを完遂

野村:1年生の頃から目標がはっきりしていて、それに向かって邁進しているのが伝わってきます。

總山:当時は「誰よりも強い養護教諭になる!」ってルフィみたいな気持ちで大学に進学していました。目指す世界に対して、自分だけでなんとかしないと、という気持ちが大きかったんです。でも、いろいろなフィールドで活躍する人たちに出会い、「こんなに仲間がいるんだ」と思いました。だったら、みんなで協力しながら目指したほうが、力強いしあったかいと思うようになりました。

野村:たくさんの現場に飛び込むことで、徐々に「まちのなかの養護教諭」の構想ができあがっていったんですね。

まちのなかの養護教諭とは?

總山:自分のなかの養護の定義は、「目の前の子どもと対峙して、その子どもを護り、養うこと」です。外的な危険因子から護って、安心安全な環境を提供することが護るということだと思います。また、護るだけではなく、その子どもたちの可能性を広げるためにその力を養うのが養護教諭だと思います。

護り、養うには専門的な知識が必要な一方で、誰にでも担える部分もあるのではないかと考えています。まちのなかの養護教諭=市民みんなが養護教諭になれる、というイメージです。誰もがそのポテンシャルを秘めており、それぞれができる関わりをすることで、子どもを気にかける姿勢が広がっていくといいなと思います。

野村:市民性や、誰にでも担えるはずだ、という考えがコミュニティナースに通じますね。

Alt="コミュニティナース"

コミュニティナースとは?

目の前の人を笑顔にするために、創意工夫しておせっかいする人や、その実践のあり方です。well-beingや健康のあり方は人それぞれなので、実践方法は100人いれば100通りあります。
具体的な活動例)
・移動販売をするなかで買い物難民の高齢者とコミュニケーションをとる
・地域の方が必ず利用する郵便局やガソリンスタンドで声かけをする
・カフェで、ふらっと立ち寄った人とおしゃべりしながら、話の流れで健康相談にのる

さまざまな実践のようすは「コミナスデータベース」をご覧ください✨

Community Nurse Company株式会社(以下CNC)でインターンしたきっかけを教えてください

總山:2年生のとき、CNC代表の矢田さんと、家庭医療の大御所である藤沼康樹先生のトークイベントに参加したことがきっかけです。イベントを機にコミュニティナースに興味をもち、矢田さんに連絡をとるきっかけにもなりました。
そして3年生の終わり、Facebookで矢田さんが「子育てインターン」を募集していることを知り、思い切って飛び込みました。

インターン時代のメンバーが先日再集結したようす

ほかの看護学生がCNCでインターンした際の学びのレポートが読めます↓

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就職先にCNCを選んだのはいつ頃ですか?

總山:3年生と4年生の間で休学して、CNCでインターンをしていたのですが、就職を決めたのはインターンが終わりかけの2月です。

野村:あまりメジャーな進路ではないですよね。葛藤はありませんでしたか?

總山:そもそも、コミュニティナースっていいなと思ってインターンしましたし、なかったです!むしろ、自分もCNCが描く社会を創っていく構成員のひとりになりたいという気持ちでジョインしました。

また、約4年間、自分で道を切り拓くんだという姿勢でいろいろな人に会ったり、チャレンジしたりした結果、我流で行き着く場所に限界を感じていました。だったら、すでに取り組んでいる人に相乗りして、掲げているビジョンを自分ごと化していくほうが、自分の目指す世界に早くたどり着けるのではないかと思いました。

現在のお仕事について教えてください

總山:肩書は「地域おせっかい会議」という事業のマネージャーです。名刺の裏には、英語で「Osekkai Conference Manager」と書かれています笑
「地域おせっかい会議」は、そのまち全体で、みんなで幸せになっていく、みんなで健康になることを目指す事業です。
https://community-nurse.jp/2723

コミュニティナース(どうしたら目の前の人が笑顔になるか、を誰よりも考える人)がまちに放たれ、まちのなかで同じような思いを持つおせっかい人を掘り起こしていきます。また、「地域おせっかい会議」を開き、誰かに笑顔になってもらうためのおせっかいをみんなで考えアクションするというものです。

マネジメントする側なので、この事業が3年後も続くためには、どのようなゴールを見据えるべきか、プレイヤーたちが心地よく働いていくためにはどのような活かし方があるのかを考える仕事をしています。

お仕事の難しさはどのようなところにありますか。

Alt="コミュニティナース"

總山:一番大変なところは、事業の効果を評価して他者に説明できるようにすることです。
ソフトな人の営みなので、「いいことをしているんだろうけど、それって結局何につながっているの?」というところを定義づけることが難しいんです。

野村:確かに、この事業のおかげでこうなりました、と言い切るには変数が多い印象です。

總山:その通りです。役割を担っている人が重層的に関わり、結果的に周りが幸せになっていく取り組みなので、実際に現場レベルだと、コミュニティナース、保健師、社会福祉協議会、民生委員、地域の商売人さんなどなど、人の地域福祉に関わっている人って本当にたくさんいるんですよね。そこに新たに「地域おせっかい会議」が入ってきて、「これは私たちの価値です!!」とか言えません。
今ある地域の健康はみんなで作り上げてきたものなので、どのように事業の影響を説明するかが課題ですね。

仕事で大事にしていることを教えてください

總山:常に思っていることは、周りに感謝することです。自分ができることは限られていますし、私の気づけない場所で私に配慮してくれている方がいます。それに対して、失礼な態度をとっていないかな?常に感謝を忘れていないか?を気にしています。

野村:いつからそう思うようになったのですか。

總山:昔からです。学生の頃からバスケットボール部のキャプテンをやっていて、そのときから「私たちは親さんがいるおかげでバスケができている!」という擦り込まれた教えがありました。試合が終わったらコーチに「ありがとうございます」って言いに行くとか…
キャプテンとして、なぜこれらが必要なのかをメンバーに伝えていたから、当時からの習慣かもしれません。

今後チャレンジしていきたいことを教えてください

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拡がるコミュニティナース。全国各地から視察を受け入れています。

總山:生涯、コミュニティナースには関わっていきたいです。自分も一人のコミュニティナースでありたいし、このコミュニティナースの仕組みを広げていくことにも関わっていきたいと思っています。
マネージャーとしては、もっと人に任せられるところは任せて、お金を引っ張ってきたり、人を引っ張ってきたり、事業を進める部分に比重をおけるようになりたいと思います!

看護学生の皆さんに、メッセージをお願いします!

總山:自分が幸せかどうか。これを、自分が思っているより大切にしたほうがいいと考えています。

今まで私は、「こんな子どもたちが幸せになるためには、何ができる?」と自分を置いてけぼりで考えていましたが、それよりも自分が何に喜びを感じるのかを知り、どのような道が適しているかを選べるようになることが重要だと思います。

例えば私の場合、たくさんの教育現場を通じて、子どもが自ら可能性を広げていく様子を見ることに幸せを感じるんだと気づきました。気づいたことで、フィールドは学校だけじゃなくていいと思えるようになりました。

たくさんの人と向き合い、悩み、考えることで、自分がどこに幸せを感じるのかが見えてくるはずです。他人に聞いてもらうことで、「あなたってそういうところあるよね」と返してくれることもあります。ぜひいろいろな人と話すなかで深掘りしていってほしいです。「自分が何に幸せを感じるのか」の解像度を高めることが、より良いファーストキャリアの選び方につながったと実感しています。

野村:自分が何にワクワクできるのか、好き嫌い、得意不得意は自分のキャリアを考えていくうえでも、対人関係でも大事だなと思うので大切にしていきたいですね!

Alt="コミュニティナース 雲南市 みんなの家"

ー總山さん、ありがとうございました!看たまノートでは、ほかにもコミュニティナースな方々を取材しています。興味のある方はぜひ調べてみてくださいね!

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