実際にぶっこんでみた!〜山陽編〜|ぶっこみPJT【Vol.2】

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目次

全国ぶっこみプロジェクトとは?

全国ぶっこみプロジェクトとは、全国の各地に「コミュニティナース|まちを元気にする“おせっかい”焼きの看護師」の本と、コミュニティナースの考えをぶっこむプロジェクトのこと。今年度中に、全国各地に約1,000校ある看護学校に本を届けたいと考えています。また、本を置くだけでなく、イベントなどを開催しながら、コミュニティナースについて知り、自分たちでも実践してみることを推進します。

今回は、この春、試しに山口県〜広島県〜岡山県の看護学校を回ってみた結果、浮かび上がってきたぶっこみのノウハウをお届けしたいと思います。

・これからぶっこみに関わってくださる方
・コミュニティナースに興味のある看護学生さん
・コミュニティナースに関心をもつ看護教員の方
必見です!

プロジェクト発足までのあらすじはこちら

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ぶっこみ方法

コミュニティナース本を看護学校に置いていただくためのルートがいくつか考えられますので、ご紹介します。

①ぶっこみ事務局と学生がつながり、学生が申請して図書館に配置する

学生が図書館に入れてほしい本をリクエストできるシステムをとっている学校もあります。みなさんの学校(母校)ではできますか?一度図書館の司書さんに聞いてみてもいいかもしれません。

②本を寄贈する

寄贈という形では、学校からお断りされることは97%ありません。ただ、その本を購入する財源を考えていかなければなりません。アポなしで突撃すると先生に会えないことも多くあるため要注意です。
まだぶっこみ事務局では郵送を試していませんが、郵送でも本の寄贈は検討していただけるようです。

③ぶっこみ事務局が看護学校に営業に行き、教員/学校に購入していただく

まだ試したことのない方法です。例えば、補足資料としてコミュニティナースカンパニーのパンフレットや、全国のコミュニティナースの活動の様子などを持って伺うと良さそうです。

④看護教員の常会で紹介してもらい、教員/学校に購入していただく

教員の方はご存じかもしれませんが、県によっては看護学校の教員が集まる常会を開催しているそうです。山陽地方のある学校を訪問した際に、たまたま常会を主催する学校と出会い、常会で本を紹介してくださることになりました。

大学であれば、CiNiiブックスを活用し、既にコミュニティナース本が図書館にあるかどうかを調べることができます。ぶっこみ前に、あらかじめチェックしておきましょう。
「コミュニティナース」の本がある大学の一覧:https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB27817147

ぶっこみにあたっての魔法のキーフレーズ

「先生にどのように魅力を伝えればいいか分からない…」そんな時は、魔法のキーフレーズを使って本の必要性や重要性をお伝えしましょう。

カリキュラムの改訂

「2022年度の医学書院の在宅の教科書に、コミュニティナースの章ができるんですよ!」
「コミュニティナースについて、情報を求める看護学生が増えると思います」

カリキュラムの改訂に伴い、在宅の領域に注目されている先生方が増えています。医学書院の教科書を採用している学校であれば、特に情報を求めているはず。

看護職が働き続けるための場として

「臨床を離れても、資格を活かした地域での活躍のあり方として注目されています」

女性ならではの結婚や出産・育児での離職後、なかなか臨床に戻れない/戻らない人が多い現状に課題感を抱く先生は多くいらっしゃいました。地域でも看護職が活躍できる方法として、コミュニティナースに関心を寄せてくださるケースもあります。

学生のうちからケアについて考える機会を

「看護学生でも、今まで認知症と関わったことがないという子が結構いるんです」
「地域に出て考えることが、これからの看護教育にはより必要になってくると思います」
「市民が担える看護を知ることで、看護師は何を専門として働くのかを考えられる」

今の時代の学生は、社会的背景(核家族化、学習の多忙化など)によって普段の生活からケアについて考える機会があまりないと感じます。『人のために何かしたい』という公共心のもと看護科へ入学してくる子はいますが、自分が実践したいケアの具体イメージや、そのケアをやれるポジションを知っている学生はどのくらいいるのでしょうか。

まちの中にある「おせっかい心」を掘り起こす

「コミュニティナースは、新しいようで懐かしい、あたたかい考え方のことです」

おせっかいという言葉が、日本ならではであるように、コミュニティナースもまた元々地域の中にあったはずの考え方です。看護教員の方は、おせっかい文化を肌で感じて育ってきた方が多く、多くを説明せずともポジティブな印象を与えつつ、具体イメージを伝えることができます。

全国のコミュニティナースの活動の様子

「専門家としてではなく、ともだちとして地域の方々に出会っていくために、医療福祉の入り口ではないところからアプローチしている人が全国にいます」
「屋台を引いて通りすがる人に声をかける人、村に一つしかないガソリンスタンドで働く人、カフェだけど喋ってはいけないという場所を経営している人など、生活の身近なところでケアにつながる活動をしている人がいます」

コミュニティナースってわかるようでわからないコンセプト。だからこそ、具体的な活動や活動している人の思いを説明してみると、コミュニティナースが実現したい世界観がなんとなく伝わります。他の人の事例はもちろん、自分の活動内容や思いを伝えてみると、自分の自己紹介にもなりますのでオススメです。

各学校の種類と特徴

みなさんのぶっこみ先の学校の特徴により、最適な説明方法やぶっこみにあたっての注意点が異なることがあるため、今回の旅で判明した各学校の特徴についてもご紹介します!

看護科のある高校

生徒が高校から看護科に入る理由は、「人のために何かやりたいから」「早く働いてお金を稼ぎたいから」とのこと。そんな現状に対して、「世間をまだ十分に知らない生徒たちには看護師に限らずいろんな世界を知ってほしい」という思いを持っている看護教員の方が多くいらっしゃいました。
なお、高校が看護科を設ける理由は、ある管理職の方によると「多様な教育に取り組んでいる高校というイメージを持たせるため」とのこと。特別看護科の教育に力を入れている高等学校は見当たりませんでした。

看護専門学校

医師会の看護専門学校や公立の専門学校は、その地域に人材を送り込むことが学校の使命であることが多いため、新卒1年目から地域に出るという選択肢も‥‥という話には難色を示されやすいのが特徴。一方で、地域医療を大切に、地域での看護に強い想いをもって教育をされている(保健師の離島訪問や訪問看護師へのシャドーイングを実習として取り入れるなど)先生もいらっしゃるため、一概には言えません。

専門学校の中でも、母体によって学校の特色が異なる。済生会や医師会などを母体とする学校だとコロナ対応や外部調整などのフローがあるのか対応がかたく、学校法人やYMCAなど民間団体などを母体とする学校だと柔軟に対応していただける傾向があります。そのため、前者へ伺う際にはツテを使ったり、事前にご連絡させていただくなどの手順が必要な場合もあります。

看護大学

特に新しい公立大学は地域に根差した大学を目指し、地域に目を向けた教育をするところも多く親和性が高い印象でした。国立看護大学では県全体や看護協会の方針を踏まえた上でカリキュラムを考えられている方が多いです。研究室の情報などから地域看護を専門とする先生など交渉先のアテを見つけやすいのも看護大学の特徴といえそうです。

ぶっこみに参加することで得られるもの

既存CNのジョインメリット

コミュニティナースの皆さんにとって、看護学校を対象に説明を重ねることで、コミュニティナースについてはもちろん、自分の活動についての説明の引き出しが増えることがメリットであると考えています。キーフレーズはこれだ、他人に伝わりやすい言葉はこれだ、というように、自分の中での色々な概念の解像度が上がります。コミュニティナースという説明しづらい活動をしているからこそ、言葉の引き出しを増やしたり、活動を言語化する機会をもつことは大切です。
「どういうところが分かりにくいですか?」「どういう言葉だと分かりやすいですか?」といった、説明した相手からフィードバックを受けることができるのも、直接訪問する魅力のひとつではないでしょうか。

ジョイン例・広島県 Yさん
広島県内の施設で働きながら、コミュニティナース的活動をすすめるYさんのジョイン方法がとても理想的でした。
書籍を寄贈するという名目で看護学校にアクセスする過程で、コミュニティナースを説明しつつ、自分の活動や思いについても伝えていらっしゃいました。この機会を皮切りに、学校の先生からは「そういうことをやっていたんですね」と納得していただき、授業の一環で地域での活動を講義で話すことにつながりました。看護学校が地域に開かれていく良いきっかけになったのではないでしょうか。

学生のジョインメリット

もえ:大学生なのにこんな頑張ってるのね、とたくさん応援された。笑
とくに、コミカレの支部を立ち上げたいと思っている人にぜひオススメしたい。近隣の大学を巻き込んでいきたいと思った時に、学生自体とつながろうとするよりも大学の関係者と繋がり、一斉メールを学生向けに発信してもらうようにお願いし、そこから連絡先をつなげてもらう、というルートの方が引っかかりやすいから。

また、自分の大学にはないことを取り組んでいる学校があり、「いいなそれずるい!」というポジティブな嫉妬が生じた。保健師の離島訪問への同行や、訪問看護師コースの設立など、看護学校の新しい多様性を知った時に、他の大学の先生や制度を自分で開拓したり、飛び込んでみたり、そういうことができたらいいなと思う。うちの大学は養護教諭専攻だと保健師コースが取れないけど、他だと取れててうらやましかった〜〜〜〜!

山陽を巡ってみての感想

山口~広島~岡山で、総走行距離は5000㎞に。とんでもないスタミナをもつドライバー・もえちゃん

もえ:
やっぱりまだまだコミュニティナースについて知っている看護教員の方は少ない。看護教員の方々の情報源は、仲間内の研究会や定期購読の看護雑誌が多い。(看護展望で紹介されていたんだけどな…)
カリキュラム改訂の影響力がすごい。「地域」「コミュニティ」という言葉に対してのアンテナが張られている。ただ、看護教員の方は地域について授業を受けたことがあるわけではないので、理解はできても教え方はわからなさそうだった。地域に関しては、教員やコミュニティナースが教鞭をとるよりも、フィールドワークによってこそ実感が湧き、学生に学びを与えられるんじゃないかなと思う。

シンプルに達成感がすごいw やり終えたときに、ここの地域で活動するための土壌は作ったぞー!とかそんな錯覚すら感じる(そんなことはない)。
一方で、学生にちゃんと届くかなという不安はある。思えば自分が真面目なだけで、図書館で勉強したり、本を手にとったりするのは一握りだなあと。看護教員の方が授業で紹介してもスマホを触ってたり寝ている人がいたり、必ずしも届かないのかなと思った。。でも、だからこそ、どの看護学生にも届く方法は探し続けたい。

のむ:
ぶっこみをしていく中で、ゆっくりと話を聞いてくださる先生が多い中で、なかなか興味をもっていただけないときも。先生のアンテナの張り具合で、学生に渡る情報が制限される現状があった…これも閉鎖的と言われる所以か!?と思う。先生に響かなくても、その先にいる看護学生に届くような努力は続けていきたいし、手に取り、読んでもらうまで行動を起こしてもらえるような仕掛けをしていきたい。

また、看護学校と一口に言っても非常に多様であることが分かった。医学部医学科ではこうはいかない!実際に訪れて分かることや、各看護学校の特色を感じることができた。教育の現場に立つ先生の思いを直接伺うことができる機会も貴重な経験だったと思うし、今後も続けていきたい。

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