看護学生時代に取得しておくべき資格はありますか?という質問をよくいただきます。
看たまノート編集部としては、「学生時代はめいっぱい遊んで、自分の興味関心のあるものにいっぱい触れて!」というスタンスですが、何か今のうちにできることはないか?と真面目な考えをお持ちの看護学生さんは多いようです。
今回は、そんなやる気に溢れる看護学生の皆さんに向けて、人として・看護師としてのスキルアップにつながる資格に焦点を当ててみたいと思います。看護学生におすすめの資格と、それらを取得することで得られる魅力について詳しく探っていきます。未来の看護師として、武器を増やし、自分のキャリアをより一層輝かせましょう!
学生時代に資格取得することのメリット
ポイントは大きく3つあります。
- 履歴書に記載できる
- 働き始めてから学ぶ機会がない
- 自分の自信につながる
履歴書に記載できる
就職活動をするとき、履歴書を書く際に「保有資格」として自分の頑張った証を書くことができます。資格が多いからといって就職活動が有利に働くとは限りませんが、面接などで「学生時代頑張ったこと」や「自己PR」を求められた際に、話のタネになるでしょう。
働き始めてから学ぶ機会がない
のちに紹介する「FP(ファイナンシャルプランナー)」や、「メンタルヘルス・マネジメント検定」は、社会人になるまでに知っておかないと損する内容が詰まっていますが、実際に大学・専門学校在学中には教えてもらえないことが多い分野です。
自分が楽しく、健康的な人生を歩んでいくうえで、学生時代に取得しておくのはいかがでしょうか。
自信につながる
資格は肩書きとも捉えられますが、「自分が頑張った証」でもあります。これだけ頑張ったと言えるものが増えることは、自分の自信につながります。
終末期ケア専門士という、資格をつくった日本終末期ケア協会の代表・岩谷真意さんのインタビューでも、このような言葉がありました。
忙しい日々で、認定看護師などの資格を取得するのは難しかった岩谷さんが、どのような思いで新しい資格・協会をつくったのかが語られています。ぜひ看たまノートでのインタビュー記事をご覧ください✨
では、実際にどのような資格が看護学生におすすめなのか、ご紹介します。
世の中にはたくさんの資格がありますが、今回ご紹介する資格は、「汎用性の高さ(いろいろなところで通用する)」「看護との関連性の高さ」「人生を豊かにしてくれるか」という軸で選んでいます。
心電図検定
心電図検定は、心電図を正確に判読するスキルを問う検定です。日本不整脈心電学会が主催しています。受験資格に制限がないため、学生にも人気の資格です。
資格取得にかかる期間
4級は基礎的な判読力を問うため、「ちょっと詳しく勉強してみようかな」と思った学生さんにおすすめです。勉強期間は個人差がありますが、数週間から数ヶ月です。
看たまたちのメンバーにも、2級にチャレンジする強者もいました!
試験が年に1回なので、タイミングを逃さず受験しましょう。
資格取得にかかる費用
心電図検定の検定料は4級で6000円(税込)です。そのほかにもシステム利用料などもかかるので、詳しくは実施要項をご覧ください。
https://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/
看護学生におすすめの理由
心電図検定にチャレンジすることで、授業ではさらっと終わってしまう内容をより深く勉強できます。
心電図検定を受検する学生さんたちのモチベーションは「かっこいいから」「急性期病棟で働きたいから」「深く勉強してみたかったから」という点にあるようです。「かっこいいから」で上等ではありませんか。チャレンジしてみましょう!
ACLSプロバイダー/BLSプロバイダー
ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)は、重症心臓疾患や心停止時の高度な救命処置スキルを身につける資格です。BLS(Basic Life Support)は、基本的な心肺蘇生法や救命処置に関する資格です。日本ACLS協会が主催しています。
看護学生であれば、どちらの資格も学生時代から受講・取得できます。まずはどのような場面でも活用しやすい、BLSプロバイダーからチャレンジすると良いのではないでしょうか。
資格取得にかかる期間
ACLS:2日(16時間程度。認定証の有効期限は2年間)
BLS:1日(6時間程度。認定証の有効期限は2年間)
資格取得にかかる費用
ACLS:38,980円(税込)
BLS:18,480円(税込)
看護学生におすすめできる理由
とくにBLSプロバイダーのコースは、医療従事者だけでなく、スポーツインストラクターやライフセーバー、保育士、養護教諭、一般市民の方も受講できるコースです。学校の授業で習うような成人向けのBLSだけではなく、小児や乳児、妊婦への対応まで学べるので、より手技や対応に自信をもてます。
TOEIC
TOEIC(Test of English for International Communication)は、ビジネス環境での英語コミュニケーション能力を評価する資格です。
留学したいと考えている学生さんは、TOEICではなくTOEFL(アカデミック領域における「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を総合的に測定する英語能力測定試験)が適しているので、調べてみてくださいね。
資格取得にかかる期間
合否ではなく、スコアが出るため一概に言えません。
資格取得にかかる費用
一般的なものが、「読む」「聞く」技能を測るTOEIC Listening & Reading Testです。
受検料:7,810円(税込)
看護学生におすすめできる理由
外国人の対応が多い病院で働きたいと考えている学生さんや、海外での活躍を考える学生さんは、定期的にチャレンジするのがおすすめです。高校生まで英語を勉強していても、意識していないと、進学とともに英語に触れる機会が減ってしまうのが看護学生です。
大学によっては無料で受検できるところもあるはず。積極的に腕試しをしていきましょう。
また、医療英語を極めたい方は「日本医学英語検定試験(通称:医英検)」もあります。英検の医療英語版のようなつくりなので、より実践に生かしたい場合はチャレンジしてみましょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)技能検定
FP(ファイナンシャルプランナー)は、暮らしに関わるお金のことを学び、個人や家族の資産設計に関するアドバイスをする資格です。FPの入門試験として、多くの方がまずFP技能検定3級を目指します。ちなみに、FP技能検定は国家検定です。
受検にあたっては二つの指定機関があるので、よく調べて臨みましょう。
資格取得にかかる期間
学習期間の目安は半年ほど(ユーキャン参照)
年3回、受検するチャンスがあります。
資格取得にかかる費用(3級の場合)
受検料:8,000円(学科+実技。非課税)
看護学生におすすめできる理由
FP技能検定の内容を勉強することで、学校では教えてくれないけど、知らないと損してしまうような、生活に直結するお金の知識が得られます。
3級の内容では他人の計画にアドバイスすることは難しいかもしれませんが、自分や家族のマネープランを立てることに役立ちます。看護職として働く際の給与やライフイベントを考慮したプランを考えてみることで、働くことが楽しみになるかもしれません。
日本化粧品検定
日本化粧品検定は、化粧品や美容に関する知識を問う検定です。美容皮膚科学やスキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ボディケアなど幅広く学ぶことができます。文部科学省の後援事業として許可されています。
資格取得にかかる期間
化粧品検定の学習期間の目安は4ヶ月程度(ユーキャン参照)
年2回、検定が実施されます。
資格取得にかかる費用
3級は無料で、WEBで受験できます。
2級・3級公式テキスト:1,870円(税込)
受検料:2級 8,800円(税込)
看護学生におすすめできる理由
コスメ・美容に関心のある学生さんにはもちろんおすすめですが、看護と美容が関わる場面はたくさんあります。爪のケアやマッサージ、生活習慣に関しては幅広い年代が関わってきます。美容クリニックで活躍する看護師さんも増えていますよね。
メイクセラピーという言葉もよく聞かれるようになってきました。看護学生が化粧品検定を取得することで、看護ケアの幅を広げることができそうです。
メディカルアロマ検定
一般向けのアロマテラピー検定もありますが、看護学生であれば統合医学の考えに基づいたメディカルアロマ検定がおすすめです。メディカルアロマ検定は、日本統合医学協会が主催しています。
統合医学では、西洋医学の症状を抑える「対症療法」だけでなく、根本的な解決を図る「原因療法」を同時に実施することにより、完治が難しいとされている難病にも対処できる可能性の大きい、今注目されている治療法です。(NPO法人統合医学健康推進会HPより引用)
平たく表現すると、西洋医学だけでなく、安全性・有効性が認められた療法も組み合わせて心身を健康にしようという考え方です。よって、メディカルアロマ検定では、アロマセラピーの知識だけではなく、心理学や基礎医学、カウンセリング学なども学びます。
資格取得にかかる期間
1〜3ヶ月
資格取得にかかる費用
教材・eラーニング:80,000円
受検料:5,500円
(2023年12月現在はキャンペーンで受検料無料、受講料が52,800円のようです)
看護学生におすすめできる理由
「患者さん」だけでなく、友人や家族、自分などあらゆる人を癒すヒントを得られます。
実際に、臨床の現場で活用している人もいれば、養護教諭として関わる生徒にアロマセラピーを提供している人もいらっしゃるようです。
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメントとは、自身や周囲の心の不調に気づき、正しく対処する方法が身につく実践的スキルです。
新人看護師の離職要因として、リアリティショックや勤務時間・指導体制のほか、【心と身体の健康問題】【職場内の人間関係】【バーンアウト】などが挙げられるとする研究*があります。とくに、すでに離職した新人看護師の離職理由の最多は【心と身体の健康問題】だったようです。誰もが直面しうる課題と思うと、自分や周囲の変化に気づき、対処する力は養っておきたいものです。
資格取得にかかる期間
学習期間の目安は3ヶ月〜4ヶ月程度(ユーキャン参照)
年2回、公開試験が開催されるため、逆算して取り組みましょう。
検定は3コースに分かれますが、Ⅲ種(セルフケアコース)が看護学生に適しているといえます。
資格取得にかかる費用(セルフケアコースの場合)
公式テキスト:2,200円(税込)
受検料:5,280円(税込)
看護学生におすすめできる理由
看護学生がメンタルヘルス・マネジメント検定を取得することで、看護する対象者のメンタルヘルスに対する理解が深まるだけではなく、働く自分自身のメンタルヘルスを守ることにつながります。とくに産業分野で保健師・看護師として働きたいと考えている人は、ほかのコースも役立つはず。興味のある方は調べてみてくださいね。
看護学生におすすめの資格とその魅力まとめ
看護学生が学生時代に資格を取得することで、専門性を向上させるだけではなく、きっと人間的にも豊かになるヒントを得られるはずです。
新たなチャレンジをしたい未来の看護師のみなさん、ぜひ自分にあった資格を選んでチャレンジしてみてくださいね。
参考文献・ホームページ 2023.12.09access
心電図検定:https://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/
日本ACLS協会ガイド:https://acls.or.jp/course_type/workers/
TOEIC:https://www.iibc-global.org/toeic.html
日本医学英語検定試験:https://jasmee.jp/epemp/
日本FP協会:https://www.jafp.or.jp/exam/outline/
金融財政事情研究会:https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/3kyu/index.html
日本化粧品検定:https://cosme-ken.org/
NPO法人統合医学健康推進会:https://togoigaku.win/integrativemedicine
統合医療に係る情報発信推進事業:https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/about/
内野恵子、島田凉子:本邦における新人看護師の離職についての文献研究、心身健康科学11巻1号18〜23、2015(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/11/1/11_18/_pdf/-char/ja)
大阪商工会議所 メンタルヘルス・マネジメント®︎検定:https://www.mental-health.ne.jp/
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