学生ヘルパーオンライン交流会【イベントレポート】

Alt=“学生ヘルパー”

障がい者の方の生活支援を行う学生ヘルパーさんの集いの場として、NPO法人境を越えての副理事である本間里美さんにご協力いただき、学生ヘルパー交流会を開催しました!!

伊藤颯希
私は当事者の方(恩田聖敬さん)の講演会をきっかけに、大学2年生の冬から学生ヘルパーとしての活動をスタートしました。活動を続けながら学生ヘルパーを啓発する中で、全国各地に多くの学生ヘルパーさんがいらっしゃることを知りました。全国の学生ヘルパーさんと繋がって、お互いの成果や悩みを共有し、学生ヘルパーとして頑張っている仲間同士で支え合っていきたい!という思いから、このたび学生ヘルパー交流会を企画しました。

では早速交流会を振り返っていきます!

目次

イベント概要

日時:4月28日(水)20:00〜@Zoom
学生ヘルパー活動の成果を自分で振り返ったり、困っていることをみんなで解決する機会にしたり、学生ヘルパー同士の繋がりを作ることを目的に開催しました。

当日スケジュール

①会の目的発表!
②学生自己紹介(学生ヘルパーを始めたきっかけ、学生ヘルパーを始めて変わったこと、今頑張っていること、みんなに聞いてみたいこと)
③みんなでお悩み相談会🤔
④元学生ヘルパーの先輩看護師さんからのお話
⑥まとめ

参加者

人数:14名
所属:医学科、看護学科、作業療法学科
学年:2〜4年生

交流会参加理由

・当事者の方からの誘い
・先輩からの誘い
・他の学生ヘルパーの人の声を聞きたかったため
・資格を取る前に学生ヘルパーについて周りの方のお話を聞きたかったため
・他の地域ではどのような学生ヘルパーさんがいらっしゃるのか、どのような思いをもって活動されているのか興味があったため
・患者さんのもとで組織化されている学生ヘルパーさんのお話を聞きたかったため

学生ヘルパーを始めたきっかけ

Alt=“学生ヘルパー”

・先輩が開いてくれた講演会にて、学生でもこんなことができるんだ!と知り、ALSや在宅医療についてもっと知りたいと思った
・同じクラスに学生ヘルパーやっている子がいて、その子の話を聞いてやることにした
・将来障がい者の方と関わる仕事がしたいと思っており、自分がやりたいことと学生ヘルパーとしてできることがドンピシャだった
・ALS協会にて当事者の方の話を聞き興味をもった
・看護師としてどの分野を極めたいのか決まっていないので、自分が何をしたいのか追求したかったから
・医ゼミで学生ヘルパーの存在を知り、患者交流会で患者さんと出会ったこと
・勢いで始めました!!

先輩や友達からの誘い、当事者の方との出会いから学生ヘルパーに興味を持ち活動をスタートされた方が多くいらっしゃいました!中には勢いでスタートして、今では学生ヘルパーの魅力にどっぷりはまってしまったという方も!

ヘルパー活動の成果発表

・実際の在宅医療の現場をしることによって在宅医療の印象が変わった。当事者の方ができることは限られているのではないかと思っていたけど、実際には当事者の方が色々な活動をしていることを知った。障がい者だからと諦めることはないのだと気がついた。
・身近に当事者の方がいるからこそ授業の内容に興味を持つようになった。
・ケアができるになってきたなという実感し、少しずつでもいいからできることを増やしていきたいなという前向きな気持ちが持てるようになった。
・人の繋がりの重要性に気がついた。当事者の方とのつながりにより、人工呼吸器をつけていても在宅で生活し、いろいろ活動をされている方がいるのだという新たな発見ができ、自分の視野の拡大につながった。
・実際の現場を見ることができるため、授業で話される内容を具体的なイメージを持って理解できるようになった。授業が楽しくなった。
・実際にヘルパーの仕事を行うことによって、ヘルパーに対する印象が変わった。前までは、ヘルパーが何かしてあげるというイメージであった。しかし実際は、自分の方が与えてもらう事が多く、当事者の方にヘルパーとして育ててもらっている。ヘルパーとしても、医療者としても自分がどうあるべきか考える機会を頂ける。
・学生ヘルパーの経験により、自分が持つ医師像や看護師像に変化があった。
・延命治療について考えるようになった。
・患者さんの思いが1番なんだなと感じるようになった。患者さんの意志が最優先だなと思う。
・学生ヘルパーを啓発したことによって、学生ヘルパーの輪が広がり、すごく楽しそうに学生ヘルパーをしている人がいることにすごく感動しています!学生自身が啓発していくことの重要性を感じた。

皆さん、いろいろなやりがいを持たれています!在宅療養へのイメージ、ヘルパーのイメージ、実際を見ることで大きく変化するという意見が多くありました。具体的なイメージをもつことができるため、授業への興味にもつながったとのことでした!!素晴らしい👏
また、当事者の方と深く関わるからこそ、医療職として、ヘルパーとして自分がどうあるべきか考える機会となっているという方もいらっしゃいました。

学生ヘルパーが抱える悩み

・当事者の方が苦しそうな表情をしているとき、本当に大変なときなのか、よくあることなのが疑問
・勉強や部活との両立が難しい(実習中はどうしている?)
・男の子が少ない。。。
・学生ヘルパーの経験がどのように将来に活きるのか先輩に聞いてみたい
・患者さんのお宅にお邪魔するという緊張感から、あれやり忘れちゃったなあ、今日一人しかバイトの人がいないけど大丈夫かな、当事者の方の指示を正確に汲み取ることができたのかなど、家に帰ってもずっと考えてしまい、仕事とプライベートの線引きができなくなる。
・着替えの手順など、なかなかケアの手順が覚えられない。やることがいっぱいあって、みなさんどのように覚えているか
・夜間ってどのように過ごされているのか?

学生ヘルパーさんはさまざまな悩みを抱えながらケアに取り組んでいるとのことでした。学生だからこそ、人と関わる仕事だからこその悩みが多く見られました。

お悩み相談

Alt=“看護学生 ヘルパー”・仕事とプライベートとの切り替えについて
→悩みを自分で解決しようと考え込まないでシフトに入っている人同士で相談したり、悩んでいることを相談するのはどうか?考えない時間を作る事が大切!

・学生ヘルパーの両立について
→毎回長時間入るのではなく、短時間入るという調整の仕方もある。当事者の方が、勉強や部活を配慮してシフトを組んでくださることもあるため、当事者の方との相談が大事!
→ヘルパー頑張りたいからテスト頑張るぞー!というモチベーションになるのはいい所

・どこまで自分が先読みしていいのか(当事者の方の指示で動くというのが基本ではあるがが、当事者の方と付き合いが長くなるほどに自分で考えて動いた方がいいのかという疑問が出てくる。ex)当事者の方が寝ているとき指示を待たずに洗濯物を畳んで良いか?)
→当事者の方が必ず指示を待ってほしいこだわりのある部分はどこかを知ることが大切。
ex)文字盤でコミュニケーションとるときは先読みしないで!!
部屋の掃除、洗い物など決まりきったケアの準備は、当事者の方が休まれている間にやることが多い。
→当事者の方にどこまではやっていいのか、迷っていることを聞くのがいいのでは?
→言われたことだけをやっているのではなく、次何を言われるのか?予想をしておくことは大切!指示待ちではなく、予想しておくことによって当事者の方の指示への反応が早くなる。

・当事者の方が苦しそうな表情をしているとき、本当に大変なときなのか、よくあることなのか判断が難しい
→呼吸器のセンサー音の変化に耳を傾けて!呼吸器の音が変だなというときは注意が必要。

・どうやって男性の学生ヘルパーを増やす?
→少ない原因の一つとして、患者さんが女性の方の場合に、男性が来ることへの配慮が必要であることがあげられるのでは。学生ヘルパーという名前に聞き馴染みがないため、手を出しにくいことも考えられる。
→学生ヘルパーの活動内容を具体的に伝えて、イメージができるようにすると始めやすいのではないか?活動している人からの具体的な活動内容の発信が重要!!

多くの方が悩んでいた学業との両立についてや、介助における悩み、仕事とプライベートの切り替えの難しさ、男性ヘルパーをいかにして増やしていくのか?などなど同じ境遇にある学生だからこその具体的な話し合いの場となりました。

先輩からのアドバイス

Alt=“看護学生 学生ヘルパー”

川村さん「当事者の方が大学に来て公演をしてくださり、「僕たちをもっと知ってください。」という投げかけが心に残り、この一言を聞いただけで終わるのはもったいないなと、学生ヘルパー活動をスタートしました。
自分が学生ヘルパーをやることに対して自信が持てるまでは、一人にされることはなく、しっかりと準備期間を持たせていただけて安心してヘルパーを続けてこれました。これまで、家族以外の人と深く関わる経験がなかったため、人と関わるという緊張感が始めはありましたが、コミュニケーションを取りながら、学生のうちから自分を曝け出すような経験ができたことはよかったと思います。

ヘルパー活動を行う中で、当事者の方から注意をうけることも(笑)ただ、どうしたら良いのか当事者の方が教えてくれて、失敗から立ち直らせてもらいました。また、自分でどうしたら改善できるかを試行錯誤することによって、自分で考える力が身に付いたと思います。自分ができないことがあった時の気持ちをどのように整理して、対処していくのかを考えて行動しました。社会人になる前に、自分のことを想って叱ってくれる環境に身を置くことができたのは貴重な経験でした。

ちなみに、これから仕事を継続していくためには仕事とプライベートとの切り替えは大事だと思っています。今は難しくても、やっていくうちに切り替えができるようになっていきます!一歩離れて客観的に考える力も必要なのかもしれません。

_______学生ヘルパーの経験がどのように将来に生きるのか、先輩からお話しいただきました!特に、切り替えについては医療職として働く上で重要なスキルであるとのこと。学生の中でも苦手と感じる方もいらっしゃいましたが、学生のうちから切り替えのスキルを磨く経験できる場にいることが将来につながるのだと、先輩の話を聞いて感じました。

参加学生の感想

・岡部さんからの好奇心、向上心、貢献心という言葉がとても響きました。今自分はどの位置にいるのだろうと、考えながら学生ヘルパーを行えたらと思う。
・悩んでいる事が解消できてよかった。学生ヘルパーさんにも様々な悩みがある事が知れて、自分だけではない安心感をもつことができた。また、他の学生ヘルパーがどのような事を考えているのかを知る事ができた。
・先輩のお話を聞くことができてよかった。仲間がいる事を感じられた。
・他の学生ヘルパーさん方の資格のとるスピードに驚き、自分も早くとれるように頑張りたいと思った。
・悩みへの対処も様々で面白かった。
・学生ヘルパーさんの話を聞く中で、いろんなところで患者さんと学生さんがつながり、そのつながりが今回の交流会を通してまた新しいつながりとなったことがとても良かったと思った。
・自分がアルバイトを始めたときはどのようであったかと自身を振り返るきっかけにもなった。

まとめ

学生のみなさんからの満足度の高さから、今回の交流会の目的であった、学生ヘルパー活動の成果を自分で振り返ること、困っていることをみんなで解決する機会を作ること、学生ヘルパー同士の繋がりを作ることは果たせたのではないかと考えます。学生のうちから、当事者の方と深く関わり、人として医療職として大きく成長させてもらえる学生ヘルパーの良さに改めて気づかされた時間でした。一方で、学生ヘルパーさんはさまざまな悩みを抱えながら支援にはいられている事も分かりました。だからこそ、学生ヘルパーのつながりを活かし、困っていることを共有し一緒に考えながら、頑張っている仲間同士で支え合えたらと思います。学生ヘルパー交流会を開催することで、学生にとっても当事者の方にとっても、学生ヘルパーがよりよいものになればと思っています!

伊藤颯希
この記事を書いた人・さっちゃん
看護学科の4年生。大学2年の冬から学生ヘルパー活動をスタートしました。コロナ禍でなかなか外出ができませんが、恩田さんの講演会に同行したくてしたくて仕方がありません!
あ、お肉大好きです。笑
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