『看護学生は海外留学できる?』海外留学という挑戦、留学での学びについて聞きました!

テストに実習に大忙しだけど学生の間に海外に挑戦してみたい!そんな想いの募ったイベントが開催されました!
コロナもだいぶ落ち着き海外に足を踏み出せるようになった今だからこそ、看護学生の海外事情について実際に海外の経験があるお二方をお招きし、海外に挑戦した理由や学んできたことなど、たくさんのことをお聞きしました!

今回の記事はこんな人におすすめ!

  • 海外に興味がある人
  • 看護学生の間に留学経験をしてみたい人
  • さまざまな世界を知ってみたい人

今回お話ししてくださった方々はこちら!

山田真帆さん

山田真帆(やまだ・まほ)さん
岩手県立大学看護学部4年。3年次に国際看護論演習を履修している希望者のみ参加できる留学プログラムでアメリカのワシントン州スポーケンに約2週間留学。
今は助産師コースで来年の2月に助産師と看護師の免許を取得する予定。性教育やプレコンセプションケアに関心がある。
浜田夏帆さん

浜田夏帆(はまだ・まほ)さん
産婦人科の看護師1年目。大学2年生に進級するタイミング(2019年6月〜2020年3月)で大学を休学し、イギリスにボランティア留学。現地では、障がい者施設で働く。

目次

留学を決意したきっかけ

山田さん(以下、山田):私の叔父が米軍基地の消防で働いていたときに、アメリカ人との交流があり、外国への憧れや異文化への知的好奇心が湧いてきたことがきっかけです。

浜田さん(以下、浜田):小さいころからイギリスが大好きで、いつかイギリスで働いてみたいと思っていたので、実際にイギリスがどんな国なのか、医療体制はどうなっているのかなどを知りたいと思ったことがきっかけです。また、1年生のときに「自分のやりたいことが看護なのか」がわからなくなってしまったこともきっかけの一つです。

留学のスケジュール・活動内容

山田真帆さん(アメリカワシントン州スポーケン:約2週間)

浜田夏帆さん(イギリスのボランティア留学:約10ヶ月間)

浜田:イギリスでは、身体障がい者施設でアクティビティスタッフとして働いていました。具体的にはカードづくりなどのクラフトや施設でのイベント企画などを行っていました。外出ができず、こもりがちになってしまう方が多かったので、どうしたら楽しく過ごすことが出来るのか考え、お手伝いすることを意識していました。

留学前に準備したこと

山田:短期留学だったので、大きな準備はしていなかったのですが、高校レベルの英語を話せるように復習しました。また、パスポートや書類の手続きは少し大変でした。

浜田:奨学金関係の準備は大変でした。私が使った奨学金は留学プロジェクトを自分で作成してプレゼンして、合格すると奨学金がもらえる制度でした。また、ビザの申請には思っていたよりも時間がかかりました。英語はもともと話せていたので英語力を落とさないように勉強しました。さらに、障がい者の方と関わったことがなかったので留学に行くまでの間は地元にある障がい者施設にボランティアに行っていました。

留学を通して学んだこと

山田さん(アメリカワシントン州スポーケン:約2週間)

アメリカの大学の看護カリキュラム
私が訪れた大学では日本とは少しカリキュラムが違い、1・2年生は基礎教養、3・4年生は看護学を学んでいました。

アメリカの医療問題

  • 生活習慣病(高血圧、脂質異常症、肥満)
  • ホームレス
  • 症状が悪化するまで医療機関を受診しない
  • ネイティブアメリカンの文化尊重

アメリカは、先進国であるが故に、肥満などの生活習慣病、ホームレス、症状が悪化するまで医療機関を受診しない、ネイティブアメリカンの文化尊重などの医療問題があります。

3日目:小児整形専門病院

この病院は多くの寄付によって運営が成り立っています。小児に特化した整形専門病院が運営できるのはアメリカの人口規模ならではだと感じました。また、病院にはチャイルドライフスペシャリストが働いており、日本では小児看護師とチャイルドライフスペシャリストの役割が重なっていることも多い印象ですが、アメリカでははっきり役割が分かれている様子でした。

4日目:ネイティブアメリカンスクール

この学校では、ネイティブアメリカンの言語を使って学習が行われています。私たちは大学4年生の地域看護実習を見学しました。実習では、対象年齢にあわせた健康教育を行っていました。

5日目:スポーケン地域最大の総合病院(感染症病棟)

ここでは、PPE着脱訓練に参加しました。なかなかできない貴重な経験ができました。

7日目:医療とネイティブアメリカン

ネイティブアメリカンの文化に合わせた医療研修や啓発活動を行っている医療機関も訪問しました。ネイティブアメリカンは文化や医療保険の都合で受診できる病院が限られているため、ネイティブアメリカンでも受診できる病院を増やしていくことがアメリカで課題となっています。

小児看護の日本とアメリカの違い

写真:小児用の救急カート

写真は小児用の救急カートです。薬品、チューブなどが体重別に色分けされて収納されています。小児の中でもこのように細かく分類されていることに驚きました。

さらに、ドラッグストアで販売されている離乳食は、日本では月齢で分類されているのに対し、アメリカでは“お座り”“はいはい”など発達に応じて分類されていました。

浜田さん(イギリスのボランティア留学:約10ヶ月間)

看護が楽しいと思えた

身体障がい者施設でスタッフとして働く中で、『看護が楽しい』と思うことが出来ました。現場でさまざまな方と出会う中で自分の中での看護のイメージが確立することにつながりました。留学する前の看護のイメージは「医療系のケアを提供すること」だと思っていましたが、その人のことを思ってすることはすべて看護になるのではないかと考えるようになりました。

視野を広く持つこと

また、看護を深く学ぶ前に留学に行ったことで、視野を広く持つことが出来るようになりました。さらに、いろんな疾患を抱えた方とたくさん関わる中で、どんな事に困っているのかを想像することが出来るようになりました。
看護以外の学びとしては、地域の方から伝統や文化をきくことができ、どっぷりイギリスの文化に染まることが出来ました。

イベントの様子

留学して良かったこと

山田:アメリカの医療を学ぶことで日本との比較ができ、日本の医療の現状をより捉えられるようになりました。また、文化や背景が違うため他人の背景を考える意識が強くなりました。
さらに、アメリカでは文化や背景が違うことに加えて、はっきりと思っていることを伝える文化だったので、言葉にして伝えることの大切さを実感することができました。

大学のプログラムとはいえ、お金もかかるし海外で働くことも考えていなかったので、最初は留学プログラムへの参加することを迷っていました。しかし、実際に行ってみたことで、いろんな価値観に触れていい経験となりました。

浜田:外に出ることが大きなハードルだった自分にとって、留学を乗り越えたことで何でも挑戦することが出来るようになったと思っています。

「休学してまでやることなのか?」と思うこともありましたが、学生のうちに1年休むことへのデメリットは、そんなにないのかなと思っています。休学してでも留学して良かったなと感じています。

留学をしているときに大切にしていた視点や考え方

山田:受け身の姿勢でいるのではもったいないと思っていたので「なぜそのような仕組みや施設があるのだろう」と疑問を持つことを大切にしていました。

また積極的に発言し、自分が知りたいことや見たいことをきちんと伝えることを大切にしていました。助産に関心があったので、性教育について話をしたり薬局に行って実際の避妊具や生理用品を見てみたりしていました。

浜田:すべてを経験してすべてを学び取ってやるという気持ちでいました。例えば施設で働いている看護師さんにお話を聞いたり、ケアの研修に参加させてもらったりしていました。自分がやりたいことや知りたいことを何でも学んでいくという姿勢を持っていました。

看護留学でおすすめの国は?

浜田:「何をしたいか」によるかなと思います。行きたい国に行くことが大切かなと思います。ワーホリのような形で現地で働いてみたい、先進国に興味がある人は、行きたい国に行ってみることが一つの選択肢だと思います。途上国に行きたいのであれば、いろんなプログラムがありそうですよね。どこに行っても学びたいことは学べるし、日本を外の視点から見ることもできます。

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留学していた経験を今後の看護職にどのように活かしていきたいですか?

山田:私が留学で得た学びとしては、コミュニケーションの取り方や相手との違いを理解するということだったので、これからの実習で患者さんとコミュニケーションをとるときに役に立つかなと思っています。また、自分は知的好奇心が強い方なので、海外と比べながら日本の性教育や助産を学んで、海外の視点も大切にしていきたいと思っています。

浜田:実習を経験する前に留学したので、本来であれば実習の中で作っていく看護観を留学の中で作ることが出来たと思っています。活かされるというよりは自分の中に染みついたものになっているという感じです。また、海外の文献にもアンテナを張って情報を収集することは続けていきたいと思っています。

もう一度海外に挑戦してみたい!という思いはありますか?

山田:日本と全然違う文化に囲まれる経験が楽しかったので、違う文化に触れるという経験をしたいと思っています。勉強面では性教育が進んでいる北欧に助産師になってから留学したいなと思っています。

浜田:留学のときに緩和ケアに触れることが多く、興味を持っているので、イギリスでもう少し学んでみたいなと思っています。もちろんイギリスで看護師として働いてみたいとも思っています。

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これから留学を考えている看護学生にメッセージをお願いします!

山田:私は研修プログラムという形で留学を経験してきたのですが、2週間という期間でも実際に海外に行ってみることで、いろんな刺激をもらい、経験が出来ました。いろいろ迷うこともあると思いますが、学生のうちしか経験できないこともあると思うので、勇気を持って挑戦してみてほしいです!

浜田:もし海外にいける環境が整っているのであれば、海外に挑戦してみてほしいなと思っています。学びたいことが明確でないとしても、「あれもこれも学びたい!」という姿勢があれば、多くのことを吸収できるはずです。

参加者の声

病院の運営が寄付で行われていたり小児の医療において体重別で管理がされていたりと、日本との違いについてお話を聞くことが出来て良かったです。1年間留学に行くことによってイギリスの文化に触れるだけでなく看護観を考えることにつながっていたと感じました。

まとめ

✔留学では現地の医療、文化に触れることで日本との違いを再認識することが出来る
✔留学に行く時には自分の「知りたい!」に素直になって行動することが大切!
✔学生のうちにさまざまなことに挑戦することはとても貴重な経験!

あやりん

今回の記事を書いた人
看護学生も2年生となり、勉強に遊びに忙しく生活しています。
最近は随分暑くなりましたね💦体調には気を付けて頑張っていきましょうー!
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