看護学生、地域に出てコミュニティナース見習いに②【9月・10月編】

「人とつながり、まちを元気にする」コミュニティナース。その言葉を知ってから約10か月が経ち、コミュニティナース見習いとして地域に出るようになって約4か月が経とうとしています。地域に出始めたばかりのころから4か月を経て、どのように気持ちが変化していったのか振り返ってみました。

ハル

この記事を書いた人・ハルちゃん
看たまノートの副編集長を務めています!
熊本県天草出身。2020年3月に熊本大学看護学専攻に入学しました。大学2年生が終了した段階で1年間休学し、今は島根の一般社団法人Community Nurse Laboratoryでインターンシップをしています。
高校生・大学生に“コミュニティナース”を伝えています!


コミュニティナースとは…

『人とつながり、まちを元気にする』コミュニティナースは、職業や資格ではなく実践のあり方であり、「コミュニティナーシング」という看護の実践からヒントを得たコンセプトです。

地域の人の暮らしの身近な存在として『毎日の嬉しいや楽しい』を一緒につくり、『心と身体の健康と安心』を実現します。その人ならではの専門性を活かしながら、地域の人や異なる専門性を持った人とともに中長期な視点で自由で多様なケアを実践します。

実践の中身や方法は、それぞれの形があり、100人100通りの多様な形で社会にひろがり始めています。
(コミュニティナースカンパニー株式会社 ホームページから引用)

目次

私が抱いていた“コミュニティナース”の印象

一般社団法人コミュニティナースラボラトリーにインターンにきてから間もない頃は、ベテランのコミュニティナースについて回って、地域の方にお会いしたり、地域のイベントに参加したりしていました。地域の方の懐にナチュラルに入っていき、精一杯の誠意をもって接しているコミュニティナースの姿をみて、学ぶことがたくさんありました。そして地域の方も、コミュニティナースを心から信頼している様子が伝わってきました。

そんな様子を一番近くで見ながら、地域の人との接し方を学ぶと同時に、コミュニティナースは『常に相手へのギブを考えられる人、常に相手ファーストな人』というような印象を持つようになっていきました。
また、常にギブできる人しか、コミュニティナースを続けることができないのではないかとさえ思っていました。「コミュニティナースはこうあるべき」というものを自分で設定して、囚われていたのだと思います。徐々に地域の人に対して「何かしてあげなきゃ」と思うようになり、その息苦しさに悩んだり、何もしてあげられることがない自分に落ち込んだりもしました。

すでにたくさん受け取っていた

受け取っていることに気がつく

「何かしてあげなきゃ」と思っていたのですが、実は地域の方からたくさん受け取っていたものがあったことに気がつきました。遠くから移住してきた私に島根のおすすめスポットを教えてくださったり、お家へ訪問するとお茶やお菓子やお漬物を出して精一杯おもてなししてくださったり、野菜や果物のおすそ分けを家まで持ってきてくださったり…
気づけば私自身が地域の方々にたくさんのコミュニティナーシングを受け取っていました。「何かしてあげなきゃ」「コミュニティナースはこうあるべき」ということに囚われていた私は、長らく、自分も受け取っていたことに気がついていなかったのです。
そう気づいてから、「何かしてあげなきゃ」ではなく「私にできることは何だろう」という考えが自然とできるようになってきました。

「する・される」の関係ではない

また、コミュニティナーシングは「する・される」の一方向ではなく、双方向に働くものだということにも気がつきます。大学で看護を学んでいるときには、患者さんに対して医療を提供“する側”だと捉え、その感覚がしみついていました。
しかしコミュニティナースを通じて、私自身も多くのものを受け取っていることに気がつき、対等な関係性で人と向き合うことの大切さにも気が付きました。
対等な関係性を築けることで、信頼関係が生まれ、相手の潜在的なニーズにも目を向けられるようになるのではないかと思います。

コミュニティナースはすぐ近くにいる

コミュニティナースは、高齢者の方々と接している姿が取り上げられることが多いのですが、実は、一番身近な皆さんの所属する学校や職場でも些細なコミュニティナーシングにあふれています。
私も、すぐ近くで一緒に職場で働いている方々や、島根でできた友達からもたくさん受け取っているコミュニティナーシングがあります。

皆さんの中にも思い当たるシーンが、いくつかありませんか?

元気がないときに声をかけてくれたり、話を聞いてくれたり、お昼ご飯がないときにおすそ分けしてくれたり…などなど。
こんなふうに、皆さんの一番身近なコミュニティの中でもさまざまなコミュニティナーシングであふれています。もう無意識のうちにやっていることがあるかもしれないですね。

ハル
「自分にできそうなコミュニティナーシングはこれかな」「私の周りにこんなコミュニティナーシングがあったな」と感じたら、ぜひコメントで教えてください!

私が今暮らしているまちはこんなところ

最後に、私の大好きなまち“島根県雲南市”の紹介をさせてください。

伝統や歴史が奥深い

雲南市には伝統や歴史を大切にしておられる方が多いなと感じています。歴史や伝統について尋ねると嬉しいそうにお話ししてくださる方が多いです。あまりにも面白そうにお話ししてくださるので、中学生や高校生時代から、社会の歴史分野が大の苦手な私ですが、少し勉強してみようと思い始めました。
地域の方がとても大事にされているものの一つだということがすごく伝わってきます。

助け合いのシステム

そして、島根県には「おたがいさま」という有償のたすけあいシステムがあります。地域の困りごとや、力を貸してほしいという声がある一方で、困っている人の力になってあげたいという想いを持った方がいらっしゃいます。
そのお互いの願いや気持ちを繋ぎ、お互いに助け合う仕組みが「おたがいさま」です。
草刈りや、掃除、ゴミ出し、子どもの遊び相手など、さまざまな困りごとに対して地域の方同士で助け合いが行われています。手助けが必要な時に、助けてくれる人がいたら安心ですし、誰かの役に立てたという実感も生きがいに繋がっていくのではないかと思います。
このように暮らしの中で繋がりが生まれていくのは素敵ですね。

まちを知る

島根に来る4か月前まで、地域のことについて興味・関心がありませんでした。今では、大学に戻っても自分が住む地域のことについて、ちゃんと知っておこう・調べようと思えるようになりました。その人の大事にしていることを知るときの、ひとつの手掛かりになると思っています。この記事を書き終わった後、さっそく私も自分の住む地域のことについて調べてみようと思います。ぜひ、皆さんの住んでいる地域のことも教えてください。

これからのこと

もっと地域に入ってみる

島根には、“達人”が沢山いらっしゃいます。飛行機作りの達人や果物を育てる達人、畳の達人などなど…掘れば掘るほど興味深い技術や話題を持っておられる方々が多いです。
同時にその達人さんは“おせっかい人”でもあります。
今までは、ベテランのコミュニティナースについていって地域の人と関わることが多かったのですが、これからは自分で地域の中に入っていって地域の方と関係性を作り上げ、達人兼おせっかい人をどんどん見つけていきたいです。

看護学生にコミュニティナースを伝えたい

そして、自分が地域の中に入って経験してきたことを、他の看護学生さんにも伝えたいと思うようになってきました。たった4か月でも、地域に出て人と関わる中で大学だけでは知れなかったことが沢山あったからです。
これから医療従事者として生きていく・学んでいく一つの選択肢として、特に同じ看護学生さんにコミュニティナースというあり方を知ってほしいなと思っています。

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