訪問看護ステーションの看護体験で気づいた訪問看護の魅力

2023年5月20・21日に株式会社Le-caldoが運営する、埼玉県所沢市小手指町の「訪問看護ステーショントータルケア」に伺いました。1日目は、看護体験として訪問看護に同行させていただき、2日目は、株式会社Le-caldoの事業の一つ、リカルド保育園へ伺いました。(2日目のリカルド保育園のレポートは後日公開!)

訪問看護ステーショントータルケア

看たまノートのパートナー企業様。2015年2月設立。埼玉県所沢市を拠点に、2つの訪問看護ステーションと保育園、病児保育などを運営している。訪問看護ステーション「トータルケア」は、在宅医療を必要としている全ての方に24時間365日、質の高い在宅医療と訪問看護サービスの提供を実現している。

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目次

訪問看護ステーショントータルケアの看護体験について

概要

訪問看護ステーショントータルケアでは、看護学生の在宅看護実習と高校生の職場体験の受け入れが行われています。
また、看護学生や高校生に限らず、さまざまな世代の人に訪問看護の魅力を肌で感じてもらうため、随時「ふれあい看護体験」も実施されています。「ふれあい看護体験」は、一般の方に看護の仕事を体験いただけるような機会です。医療・看護は病院だけでなく“生活の中”にあること、そして看護師自身も地域で生活する身近なひとりであることを感じてもらいたいという想いから実施されています。

訪問看護体験は、いつでも実施されているので、気になった方はぜひ「訪問看護ステーショントータルケア」にご連絡ください!

\看護体験についてもっと詳しく知る/

参加動機

宮本:私は、看護師として病院でずっと働くことに違和感を抱いていたため、病院以外の場所で働く選択肢を探していたときに、「訪問看護」という働き方を見つけました。そして、訪問看護ステーショントータルケアと出会い知っていく中で、トータルケアで行われてているさまざまな取り組みやその背景、想いに魅力を感じるようになりました。そこで今回、看護体験をお願いし、お伺いさせていただきました。

看護体験での気づき

患者さんのお宅へ同行訪問

プリセプター経験のある看護師さんに同行し、患者さん(以下、Aさん)のお宅を訪問しました。Aさんは脊髄を損傷しており、排便コントロールが難しいため、この日は摘便ケアを行いました。訪問時間は1時間半でした。Aさんにご挨拶した後、私はベッドサイドで看護師さんのケアや声掛け、Aさんの様子などを見学させていただきました。

看護師さんは、腹部マッサージをしながらAさんの最近の様子や腹部の状態を尋ね、Aさんの「こうしてほしい」という要望を丁寧にくみ取り、受け取りながらケアをされていました。洗浄用のボトルやブランケット、ナプキンなどのケアに必要なものは、Aさんのお部屋にネーム札付きで整理整頓されており、初めてケアに訪れた人でもわかるように工夫されていました。

気づき① 患者さんの暮らしぶりから垣間見えるもの

私は今まで大学の実習の中でも病院実習しか経験したことがなく、初めて訪問看護の現場を見ました。今回の看護体験を通して一番印象に残ったのは、患者さんの暮らしぶりに直接触れることで、患者さんの日頃大事にされていることや培ってきた価値観が、垣間見えてくることでした。

病院での看護は、患者さんやご家族からいただく情報の中で、患者さんの退院後の暮らしを、想像しながらケアを提供していくと思います。一方で、訪問看護は患者さんの生の暮らしに触れることができるので、言葉でのコミュニケーションだけでなく、五感を使って暮らしの様子を観察することができます。今回の場合だと、Aさんのお宅の物がきれいに整理整頓されていたことから「きれい好きな方なのかな」や「自分が過ごしやすい空間を妥協せずに作り上げていかれる方なのかもしれない」など、見ていて気が付くポイントがたくさんありました。

気づき② ご家族のご協力と暮らしやすい工夫

二つ目に気が付いたことは、患者さんが過ごしやすい空間や気持ちの良いケアを受けるためのご家族の協力です。在宅での療養では、24時間ずっと医療者がついていられるわけではないので、ご家族の協力が大切になってきます。
今回訪問させていただいたAさんは、旦那さんと2人暮らしで、お子さんは別の場所で生活されていました。Aさんは車椅子で生活しているため、外出や料理、掃除、ベッドへの移動など一人では難しい動作も多いと思います。旦那さんが生活の支えとなっていると感じました。また、転倒転落や何か起こったときに、頼ることができる旦那さんがすぐ近くにいらっしゃることで、Aさんの心の支えとなっていると感じました。

また、家の内装も暮らしやすい工夫が必要になってきます。
Aさんのお宅は、リビングから洗面台やお風呂場へ向かう動線に段差があるお家だったのですが、車椅子で登りやすいようにスロープが設置されていました。また、リビングも通りやすいように家具が端のほうによせてあったり、洗面台の蛇口は、車椅子に乗ったままでも手が届くように、持ち手を金具で長く補強したりしてありました。Aさんがご自宅でも問題なく快適に暮らせるように工夫を重ねられており、ご家族のご協力の様子がとても印象に残りました。
このようにご家庭の中での暮らしの工夫や患者さんとご家族との関係性を直接みることができることも訪問看護の魅力の一つだと思いました。

訪問看護ステーショントータルケアの想いに触れる

看護体験やトータルケアの看護師さん・スタッフの方にお話を伺うなかで感じた、トータルケアがこだわっていること・大切にしているポイントを、私なりにまとめてみました。

ライフステージが変わっても看護師として働き続けられる仕組みを

トータルケアの取り組みとして一番特徴的なのは、「看護師が働きやすい環境づくり」だと感じました。トータルケアでは、勤務希望を提出した後、管理者のシフト調整がなく、看護師が提出したシフトがすべて通るようなシステムになっています。(詳しくはこちらをご覧ください)そのため、看護師さんのライフステージ・ライフスタイルに合わせながら働く時間・頻度を調整することができます。

また、看護記録も特徴的でした。看護記録シートは紙で、ほとんどの項目がチェック方式になっており、訪問看護を実施しながらその場ですぐに記入できるような工夫がされていました。記録を行うために残業をすることがないようにケアの記録は簡潔に行い、患者さんの細かな言動や要望、訪問の中で気が付いたことなどは患者さん専用のチャットアプリを用い、随時情報共有ができるような仕組みづくりが行われていました。
患者さんも看護師もどちらも大切にできる考えられた仕組みがとても魅力的でした!

「自宅で過ごしたい」という患者の想いを尊重する

トータルケアのスタッフの方から、こんな話を伺いました。

数年前に、近くの病院で治療をされている末期がんの患者さんがいらっしゃいました。その方は「早く自宅に帰りたい」という想いがありましたが、まだできる治療があったため、治療の継続か、自宅で過ごすかを決めるまで時間がかかっていました。患者さんの予後も長くなかったため、本人はもちろん、病院スタッフも含めて意思決定を支援したところ、一日でも早く在宅での生活に戻って、安心した生活を送れるよう自宅退院することと訪問看護の導入が決まりました。

このお話をお伺いして、患者さんの想いを一番に考え、できるだけ早く実現できるように受け入れの体制を整えるという姿勢に、とても心強さを感じました!

受け入れを断らない

トータルケアではどのようなケースの患者さんでも断らず、受け入れています。その背景は、上記の『「自宅で過ごしたい」という患者の想いを尊重する』ということにも関係しているのではないかと思います。どんな状態の患者さんであっても、医療を受ける権利があり、やりたいことや実現したいことなどの想いがあります。その気持ちに精一杯寄り添い、よりよい方向へ繋がるようにスタッフみんなで試行錯誤されています。
また、患者さんに限らず、学生の実習や今回のような看護体験などにも「受け入れを断らない」という姿勢に通ずるものがあるのだと感じました。

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まとめ

今回の看護体験を通して、在宅医療・訪問看護、地域看護はもともと興味のあった分野だったのですが、さらに興味が湧きました。患者さんのご自宅は、たくさんの思い出や大切なものが詰まった場所です。その場所にお邪魔して、看護を用いながら患者さんの生活のサポートができること、一人ひとりに必要なケアを考えながらケアを提供できることがとても貴重で魅力的だと感じました。

宮本
この記事を書いた人・宮本千陽(みやもと・ちはる)
熊本の看護3年生。
興味のあるテーマは、国際医療、在宅医療、地域看護、医療デザイン、看護教育。
9月からいよいよ始まる半年間の実習に向けて頑張ります!

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