国内外問わず看護を提供してきたあやぱんさんへインタビュー!|自分と向き合い、納得してつかんだ新たなキャリアとは【輝く先輩ナース】

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そろそろ就活について考え始めた私は、今現在としては病院に就職して病棟で看護師として働きたいと思っています。看護師というと病院で働くイメージが強いですが、世の中には病院以外で看護師として働いていたり、新たな資格習得を目指していたり、看護師免許をもちながら看護師とは別の仕事をしていたり…と様々な働き方があります。私にもそのような選択肢はあるのかなと思ったときに、どうやったらその道に進めるのだろう、どのようなタイミングで選ぶのだろうと分からないことが多くありました。
今回は国内外問わず、看護師であることを活かして様々な経験をされているあやぱんさんに出会い、活動のきっかけややりがいについて伺いました。 

\\ インタビューにご協力いただいたのはこの方 //

あやぱんこと高松彩(たかまつ・あや)さん
看護歴8年目。旅行好きで約30ヵ国以上の渡航歴あり。海外の医療視察や海外ボランティアの経験を経て、シンガポールで日本人初の産後ケアにも挑戦。
現在はキャリアビジョンを再構築し病棟看護師に復職。看護師専門のキャリアメンターサービス「Nurself」の運営スタッフとしても活動中。
Twitterは@NurseAyapan

目次

普段のお仕事や活動について簡単に教えてください

あやぱんさん:つい最近まで転職活動中でして、まだ看護師としての職場復帰はしていない状態なのですが、ようやく転職先が決まり11月から働く予定です。(インタビュー当時:2020年10月)
現在の主な活動は二つです。一つは、「Nurself」という看護師専門のキャリアメンターサービスという運営側のサポート活動をしています。二つ目は、自分のブログです。新型コロナの影響で、自粛生活中に何もできることがなかったので、主人からの勧めで始めました。看護に関することや夫婦関係のことを記事にしています。

「Nurself」とはどんな活動ですか?

あやぱん:「Nurself」というのは、看護師専門のキャリアメンターサービスです。Twitterで初めて「Nurself」を見たのは、シンガポールで転職活動をしており、自分が何をやりたいのかまったく分からなくなっていたときでした。ただ英語を活かせる職種に就ければいいやと躍起になっていたとき、「自己を見つめられる、自分らしさを手に入れよう」という内容の「Nurself」のツイートを見て、興味を持ち参加してみました。
「Nurself」のサービスは、自分は何がしたいのか・自分らしさとは何かを2か月間で掘り下げていくプログラムです。2か月間自分と向き合うことを1人でやるには、メンタル的にきついですが、同期のような参加者、さまざまなキャリアを持った看護職の方がサポートしてくれるので、私は2か月間を楽しく自分と向き合うことができました。また、自分の強みや自分の長所が分かり、自分のありたい姿を知ることができた2か月間でしたね。

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現在のお仕事に至るまでのキャリアを教えてください

看護職を目指したきっかけは何でしたか?

あやぱん:看護師を目指したきっかけは、高校生の時に知人の助産師さんの話を聞いたことでした。自分も赤ちゃんが好きで、子どもと関わる機会が多かったので、赤ちゃんを取り上げる仕事に魅力を感じ、看護の道に行くことに決めました。

卒後のキャリアを教えてください

あやぱん:専門学校を卒業した後、大学病院の救急医療科…主にICUで3年間勤務しました。3年目を迎えた時に、自分はこのままでいいのかなと考え始め、命を救えることは多いけど、その患者さんの人生を救えているのかなと考えることが多くありました。例えば、命を救えてもただ心臓が動いているだけ、延命治療、脳死状態などの、人の最期をうまく看護できない自分がすごい嫌で、救命ではないところで看護を学びたい気持ちが強くなり退職しました。

退職した後は、今までできていなかった海外旅行に行きたいと思い、20か国くらいを船で3か月半かけて地球をぐるっと周るツアークルーズに参加し、海外の面白さを知りました。旅行のときにも、カンボジアの地雷撤去のボランティアをしたり、地雷で手足を失った人たちが通うリハビリステーションや社会復帰施設に見学に行ったり、キューバの医療を見学するツアーにも参加しました。今まで自分が生きていた環境がとても狭かったことに気づき、知らない世界をさらに知りたいと思いました。

カンボジアでの地雷撤去のボランティア参加時

あやぱん:しかし、看護師としてのキャリアは失いたくないという気持ちもあったので、応援ナースとして看護師が不足しているところに半年間働いた後、2~3年間海外の語学留学やファームステイ、インドでのボランティアをして過ごしました。その間に海外で日本人の主人と出会い、主人がシンガポールで仕事が決まったので、結婚してシンガポールに行きました。

シンガポールでは、日本の看護師資格で働ける環境はありますが、いくつか条件があります。私はその条件を満たせなかったので、シンガポールで看護師として働けませんでした。看護師としてのキャリアで別のことに挑戦してみたいと思っていたところ、産後ケアに出会いました。シンガポールの中で、日本人としては初の産後ケアの仕事を立ち上げから携わらせていただきました。その後、コロナ禍の状況や、自分が産後ケアでもっとキャリアアップしたい気持ちがあり、転職を考えた今に至ります。

シンガポールでのお仕事のやりがいはなんですか?

あやぱん:病院の看護師だと、「あなたがいい」と指名されることは滅多にないかと思います。病院が評価されても、個人が評価されにくい環境ですよね。しかし、産後ケアは私しか日本人スタッフがいなかったので、良くも悪くも個人を評価してもらいました。「高松さんの産後ケアがいい」と自分のサービスを喜んでもらえ、それが次のお客さんに繋がり、喜んでくれる方が増えていくことにやりがいを感じました。
また、産後ケアは、大体3~4週間行います。日本だと出産後1週間くらい入院すると思うのですが、シンガポールだと出産後2泊3日ほどで退院するので、退院したときのお母さんはぐったりしています。3~4週間経ち、お母さんが元気になって、お買い物をしたり出かけたりする姿をみると、産後ケアをやって良かったなと思いますし、何よりケアに入る期間に赤ちゃんが何事もなく、順調に経過するだけで達成感を感じます。

日本でも経験のなかった産後ケアを、シンガポールで取り組んでみて困ったことや大変だったことはありますか?

あやぱん:小児科で働いたことも産婦人科で働いたこともなかったので、全てが初めてでした。特に悩んだのが食事の献立です。産後ケア期間の3~4週間分の献立を作らなくてはいけなかった時はとても大変でした。助産師の友人に教えてもらったり、子育て経験者の社長と相談したりしてなんとか完成させました。実際に献立をお客さんに提供したとき、皆さん「美味しい」と食べてくれて、緊張しましたがとても嬉しかったです。

ー話を聞いて、すごいなぁ!と思いました。

あやぱん:やはり赤ちゃんやお母さんのおっぱいのケアは、助産師でないと分からない部分もあります。シンガポールにある日系のクリニックには日本人助産師がいるので、相談にのってもらったり、私が「病院で診てもらったほうがいいな」と思ったときにはクリニックの助産師にマッサージをしてもらって解決したり、とても助けられました。多職種の人に助けられたことは大きかったです。

やりがいを感じたエピソードがあれば教えてください

あやぱん:産後のお母さんと赤ちゃんが何事もなく、トラブルなく成長していけることにとてもやりがいを感じます。
それから実際に産後ケアを始めてみて、実は新生児のケアよりも上のお子さんのケアの方が大事で、大変だということに気づかされました。例えば産後ケアに入ったとき、上の子が弟や妹を受け入れるための心のケアが必要です。イヤイヤ期だとさらに大変でした。お母さんと私で分担しながら対応し、上のお子さんが徐々に弟や妹を受け入れたり、私や産後ケア者がいることでお母さんと上のお子さんとの時間がつくれたり、お母さんと上のお子さんが笑って遊ぶ姿を見たときに、「やってよかったな」とやりがいを感じました。

あやぱんさんが仕事をする上で大切にしていることを教えてください

あやぱん:産後ケアでは、ご両親がどう育てたいか、ご両親の思いを大切にしました。例えば私が混合栄養がいいと思っていたとしても、お母さんが完全母乳で育てたいという思いが強かったら、そのお母さんの思いに沿ってケアをします。お母さんの意見をできるだけ取り入れてケアできるように心掛けていました。
病院の看護師としても、やはり患者さんとその家族がどうしたいかを大切にしています。先生は手術した方がいい、抗がん剤治療したほうがいいと言っても、患者さんが先生の治療に対して受け入れられなかったら、受け入れられるようにケアもする一方で、受け入れさせなくてはいけないとは私は思っていません。患者さんが、なぜそう思うのかを大事にしています。

ー大切なことだけど、それを実践していくのが難しいなと思います。

あやぱん:そうですよね。先生の意見も分かるし、先生方は私たちや患者さんより経験豊富だからこそ、その意見があることも分かります。先生と患者さんの双方の意見を取り入れることは難しいですが、できた時はやりがいを感じます。

今後チャレンジしたいことを教えてください

あやぱん:今は二次救急の急性期病院に転職先が決まったので、スタッフメンバーとして、いずれはリーダースタッフとしても頑張っていきたいと思っています。
それから、IELTS7.0を取得する目標があります。多くの英語圏の病院で看護師として働くために必要な英語のスキルがIELTS7.0だからです。

今まで海外での活動や産後ケアを行っていましたが、なぜ日本に戻ってきて急性期の病棟看護師に復帰を決めたのですか?

あやぱん:まず、自分を見つめ直した時に、私は個人プレーよりチームプレーが好きなんだなということに気づきました。産後ケアは個人プレーなんです。会社の社長や多職種と連携する助産師さんはいますが、産後ケアの基本はお客さんと私の1対1の仕事です。しかし自分を見つめ直すうちに、私は学生のころからバレーボールやチアリーディングをやっていて、当時からチームの人のいいところを見つけ、チームがどう動くかを考えることが得意であるということを「Nurself」で気づかされました。自分の強みに気づくと同時に、より自分の強みを極めていきたいなと思い、チームプレーができる病棟看護師に戻る決断をしました。
急性期を選んだのは、外科系の看護が好きだからです。救急で経験した外科と、応援ナースとして経験した内科を比較し、患者さんの変化の速さやその過程を看ることが好きなのだと気がつきました。自分がした看護によって24時間の間にすごく良くもなるし、すごく悪くもなる点に面白さを感じます。

英語力(IELTS7.0)取得は、今後海外で看護師として看護をすることを考えているのですか?

あやぱん:今は外国人の患者さんや外国人スタッフのサポートをしたいという気持ちが強くあります。自分が海外に出て活躍するのではなく、日本で、海外から働きに来る外国人の方や患者さんをサポートできる看護師になりたいです。次に転職する病院は、まさに外国人患者さんの受け入れを積極的に行っていたり、外国人の看護師さんを積極的に受け入れたりしている病院です。
しかし、自分の中で海外で看護師として働くということに挑戦したい気持ちがゼロではありません。また、シンガポールで海外で生活できたのは主人のおかげなので、今度は自分の力で生活したい気持ちもあります。コロナ禍が落ち着き、再び挑戦したいと思えたら海外で看護師として働くことにチャレンジしたいと思います。

最後に、現役看護学生に伝えたいメッセージをお願いします!

あやぱん:「やりたい!と思ったことは挑戦してみよう」ということです。海外に出ても、救急の現場で働いていても思うのですが、自分たちもいつ死ぬか分かりません。今もコロナ禍で、いつかやればいいやと思っていたことができなくなってしまったこともありますよね。看護学生はまだ若くエネルギーがありますし、看護師として働くよりも少しは時間の余裕があると思うので、本当にやりたいと思ったことにどんどん挑戦してほしいなと思います!

ーーーあやぱんさん、インタビューへのご協力ありがとうございました。
インタビューをしてみて感じたことは、さまざまな働き方がある中で、自分に合った働き方や「やりたい!」「やってよかった!」と思えるような仕事ができたらいいなということです。ふとしたきっかけで、周りの環境も変わるし、変えられる機会もあると思います。

限られた時間のなかで自分が何をしたいのか、軸を明確に、大事にしながら、これから私もさまざまなことに挑戦していきたいなと思いました。
今回あやぱんさんのお話を聞いて、気づきや新たな学びが多くあり、私にとってとても貴重な機会となりました。この学びを多くの人たちと共有できたら嬉しいです。
ありがとうございました。

あやぱんさんのTwitterはこちら
Twitter:@NurseAyapan

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