「日本の性教育を変える」助産師・のんさんへのインタビュー!性教育、仕事にかける熱い想いとは?

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日本の性教育を変えるために助産師として働く、のんさんにオンラインでインタビューしました。
✔助産師になるまでの道のり
✔仕事へのやりがい
✔性教育への思い
✔助産師として大切にしていること
✔看護学生に伝えたいこと
などを伺いました。助産師になりたい人、性教育に興味のある人、必見です!

のんさんProfile

性教育を学び始めて9年。
人生のテーマは日本の性教育を変えること
関東圏の病院に勤務して2年目の助産師 →Twitterはこちら

17歳 日本の性教育を変えると広島県で宣言
18歳 高3の同級生みんなの前で教育について10分語る
19歳 専門学校で性教育研究・活動開始
21歳 関東圏の看護大学に性教育留学(大学編入)
22歳 看護研究をきっかけに婦人科見学ツアーコンダクターデビュー
23歳 助産師学生になる
24歳 助産師デビュー

目次

今のお仕事について簡単に教えてください

のん:普段は完全に朝から晩まで助産師で、①お産を取る担当、②妊婦さんを受け持つ担当、③産後のお母さんを受け持つ担当、この3パターンのどれかです。日勤と夜勤がある形で仕事しています。

夜勤は大変ですか。

のん:月によっても違いますが、月に3~5回くらいが多いです。病棟が落ち着いていたら数時間の仮眠休憩が取れるので、そこまで大変とは感じていません。しかし、お産がたくさんある日はやはり疲れます。

看護職を目指したきっかけは何ですか

のん:私は2、3歳頃から看護師さんになりたいと周囲に言っていたようです。昔から責任感が強く面倒見が良いタイプだったので、「誰かを助けたい!」という気持ちが強くありました。また、自分がなりたいものになれそうなのに、有言実行できないことは嫌だと小学生の頃から思っていたので、迷うことなく看護の道に進みました。
助産師に関しては、私が小学校3年生のときに弟が生まれて、赤ちゃんがとても可愛いと思ったことで選択肢に入りました。

看護学生時代はどんな看護学生でしたか

のん:看護学生時代はおせっかいで真面目なタイプでした。高校を卒業した当時の私は、メガネをかけていて、おかっぱで、おしゃれとかにも興味はあるけど、あまり気を使うタイプではありませんでした。とはいえガリ勉ではなかったので、テストの前の日は、「なんで勉強しなかっただろう」と言いながら勉強していました。
課外活動としては、ボランティア部や医療勉強会のインカレサークルに入るなど、自分の興味があることをとことんやりぬくタイプでした。アクティブなところは、今も昔も変わりません。

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ボランティアはどのようなことをされていましたか。

のん:私は大学入試に失敗したので、専門学生の途中までは拗ねたまま生活していました。そんな時、友達とボランティアで南三陸町に行きました。当時は震災から3年後ぐらいでしたが、今でも年に1回程行っています。私たちがおこなったのは冬休みの年越しボランティアで、泊まり込みで5日間、神社で炊き出しをしたり、みんなが初詣来る時に楽しめるように、絵馬を作ったりしました。非常に良い経験になり、ボランティアは人のためにやるだけのものではないと感じました。
被災地に行ったときに「私、このまま拗ねて生活していてはだめだ」と思えた経験は私の原点です。それからは、自分がやりたいことにも目を向けるようになり、地域の大学生と一緒に医療勉強会のサークルに入り、性教育の勉強を再開しました。

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性教育講演のようす

現在のお仕事に至るまでのキャリアを教えてください。

のん:私は大学が駄目だったので専門学校に行きましたが、大学が諦めらめきれず、大学で助産師課程を取るつもりでいました。しかし、助産師選抜に落ちてしまったので、そのまま卒業し、大学の助産専攻科に進学しました。無事助産師の国家資格を取得し、関東圏の病院で勤務を始めて現在2年目です。

そこまでして助産師になりたかったのはなぜですか

のん:私は性への目覚めが早く、性に関する興味があったのがきっかけです。高校生の時卒業後の進路について調べる中で、助産師の仕事に性教育があることが分かった時に、性に興味があることと、看護職につきたいという思いがマッチして、助産師が自分の天職だと思いました。

ちょうどその頃、高校の図書室で、日本の性教育と世界の性教育を比較した本「こんなに違う!世界の性教育 (メディアファクトリー新書)」を読み、「日本の性教育を私がなんとかしないと」と思いました。また、自分の興味のあるテーマについてレポートをまとめるという授業があり、そこでも私は性教育をテーマに選びました。これらをきっかけに、日本の性教育を変えるということが大きな目標になりました。それまでは、性に関することに興味があるということを人には言えずに隠していましたが、これなら堂々とできると思えました。

専門学校ではゴードンの看護展開に着目し、性についてどんなアセスメントができるかを調べたり、性教育に関するテストを作って、その正解率や正解した人の傾向などを調べたりしました。また、国際医療勉強会のサークルの学生と一緒に勉強する中で、性に関するプレゼン等をしていました。性教育について学ぶことが何より楽しかったです。

助産学生のときの勉強は大変でしたか?

のん:とても大変でした。4月から6月までの3か月間、毎日9時から18時までずっと授業でした。それに加え、朝の7時から9時までお産を取る朝練をして、授業が終わった18時から20時まで午後練をしていました。3か月間で研究以外の授業が詰め込まれ、テストばかりだった生活は、正直とても辛いものでした。またその後もお産介助を10件もさせていただく生活は、看護学生時代よりハードでした。

看護師としてアルバイトもされていたと伺いましたが、どんなことをされていましたか。

のん:看護師の国家資格を取った後、看護大学編入時代に、クリニックとデイケアでのアルバイトを掛け持ちしていました。デイケアでは高齢者の方の健康管理をしていました。私が20代前半で、利用者さまにとっては孫のようだといわれることも多かったですが、多くのことを学ばせていただきました。クリニックの方は、呼吸器の内科クリニックで検査を担当し、問診をとったり、採血したり、呼吸機能の検査をしたりしました。特に問診はアセスメント力を試される仕事だと感じました。

今のお仕事の楽しみ・やりがいを教えてください

のん:学生時代から性教育に関することを学んできたので、頼まれたら講座を開くことはありますが、今はあまり対外的な活動できていません。ですから、主に仕事の中で性に関する事を伝えるベッドサイドでの性教育が、私の1番の楽しみです。常に、助産師として看護職として、患者さんの選択肢を引き出したり、選択肢から自分で選べるようにしたりするお手伝いをしています。
例えば、子どもの性別は、その子が生きて行く上で決まってくることなので、生まれてきた時からジェンダーによって、「男はこう女はこう」と決めつけることを変えていこうという話をします。それ以外にも、避妊や産後の家族計画について、一緒に考えることもあります。また、子どもの性を守ってあげられるような親になってほしいと思うので、子どもに対して、プライベートゾーンやプライベートパーツが大事だということを伝えるように話したり、親子で性教育をするにはどうしたらいいかという話をしたりもします。

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性教育のミニ講座の様子

のん:一番やりがいを感じるのは、「助産師さんにピルやミレーナのことを聞けてよかったです。」など性教育に関することについて感想をいただく時です。お産のお手伝いをして、無事に産まれてきてくれる時もとても嬉しいですが、それより、患者さんが自分の新たな選択肢を見つけ、その選択肢を自分で実行できそうだと感じてもらえる時が嬉しいです。
一方で、自分のできないことや、自分の苦手なところと向き合わなくてはいけないことが一番大変だなと思います。

お仕事で大切にしていることは何ですか。

のん:「セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」をあらゆるフェーズでお伝えすることを大事にしています。「セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」とは、「性と生殖に関する健康と権利」です。性に関することにおいて、誰もが健康であるべきで、性に関することを決定できる権利を、誰もが捧げられるということです。どのような選択をしても、あなたの選択が尊重されることを分かってもらえるように、力を入れて支援しています。
なかでも、中絶する人にも、妊娠を中断する権利があり、その権利が確実に守られるように看護をすることが私の大切にしていることであり、得意分野です。

今後チャレンジしていきたいことを教えてください。

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のん:病棟の中で性教育をしたいという仲間を増やして行くことと、もし機会があれば、病棟の外に性教育をしに行くことの二つです。仲間を増やして、日本全体の性教育を変えたいと思っています。

現役看護学生へのメッセージをお願いします

のん:私が、当時看護学生だった自分を振り返って、よかったと思うこと二つを中心にお話ししますね。
まず一つ目に、自分の希望や目標を実現するために、失敗したとしても、躓いたとしても、何度でも、毎回しっかり自分に合う選択肢を貪欲にチョイスしていってほしいと思います。持論ですが、私は学生の時からチャンスは多い方が絶対に良いと思っています。私には、高校3年生の大学受験の際、助産師課程がない大学を受験するという選択肢もありました。しかし、私はあえて助産課程がある大学を受験しました。助産課程がない大学なら合格する可能性がありましたが、私はそれをしたくありませんでした。助産師になるという選択肢を減らしたくなかったからです。その後もその考え方を貫けたからこそ、助産師になれたのだと思います。
もし皆さんに絶対にかなえたい希望があるならば、全力で取り組んでみてください。もし一つ目の選択肢がダメでも、そこからまた考えればいいんですから。諦めない限り、いつからでもやりたいことは絶対にできますよ。私も、大学院進学などこれからもあきらめずにチャレンジしようと思います。

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のんさんのプライベート

二つ目に、今学べることと、今経験できることを、何でもいいので全力で学び、それを皆さんの看護の力にして欲しいと思います。これは私が看護の専門学校の時に先輩から言われたことですが、患者さんと話をしたり、患者さんの思いを聞いたりする中で、患者さんのニーズを引き出すのは看護師の仕事の一つだと思います。それは、信頼関係なしにはできません。
こう思うようになったのは、私の経験からです。あるとき、話しかけてもあまり応答してくださらない、表情も乏しい患者さんがいました。ある日、その患者さんが「南三陸」と書いてあるTシャツを着ていたので、私が「南三陸町に行ったことがあるんですか」と声をかけると、「住んでいたんだよ。」と話してくれ、私も南三陸に行った経験を話すことになり、信頼関係の構築ができるようになりました。その日以降、その患者さんは病状の話などもしてくれるようになり、ニーズを引き出すための信頼関係の構築にはどんなきっかけが隠れているかわからないことを感じました。このように皆さんの観察力や景観などどんなことも看護に繋がります。何でもいいので全力で取り組み、様々なことを経験することが、きっと、皆さん一人ひとりの看護の力に繋がります。看護学生時代から自分の感性を高めて、何事も本気で楽しんで、いつか看護にいその経験が生きていけますよう応援しています。


インタビューした学生より

今回のインタビューで、「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」という考え方を初めて知りました。患者さんが自分の新たな選択肢を見つけ、その選択肢を自分で実行できるように関わり続けるのんさんは、とても素敵だと感じました。また、のんさんのように、将来の夢に向かって諦めずに努力し続ければ、いつからでも夢は叶えられるということが分かりました。どんなことも将来に繋がるので、何事にも全力で取り組んで、今を大切に生きようと思います。

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