30代で助産師を目指し、認定NPO法人ピッコラーレの代表に|中島かおりさんにインタビュー!

第二子の出産をきっかけに助産師を目指し、30代で看護学生に。
助産師になる過程で「性と生殖に関する権利」を学び、病院や助産院での勤務を経てから認定NPO法人ピッコラーレを仲間と立ち上げた中島かおりさんにインタビュー。 助産師として大切にしていることをたくさんお聞きしました。

中島かおりさん

中島かおり(なかじま・かおり)さん

看護師・助産師・保健師の資格を持つ。認定NPO法人ピッコラーレ代表。第2子の出産をきっかけに助産師を目指し、その後、病院や助産院で助産師として働く。「妊娠」がきっかけで女性が孤立することなく、繋がりが途絶えない社会、妊娠・出産を経ても、自分のやりたいことを自分で選び取れる社会を目指してチャレンジを続けている。

目次

看護師を目指したきっかけについて教えて下さい

中島さん(以下、中島):もともと、理学部の生物学科を卒業して修士課程を終了後に研究職として10年ほど働いていました。そのときに、第二子を助産院で出産したんです。
1人目の出産と比べて2人目の出産は、妊娠中から出産の際も色々な助産ケアを受けて身体がとても楽で自分の力が引き出された感覚がありました。

そこでお世話になった院長に「助産師って素敵な仕事ですね」と言ったら「あなたも今からでもなれるわよ」と言っていただいたことがきっかけです。

当時看護師の資格も持っていなかったのですが、その言葉が心に残り、助産師になるためにもう一度看護学生として大学に通うことにしました。 10年間働いていたので、もう一度学生に戻って学んでみたいという想いもありました。

中島さんはどんな看護学生でしたか?

中島:1年生のときは、仕事も続けながら大学に通いました。 ただ2年生の後期になって実習が始まってると忙しくなり、仕事は退職して記録や実習に明け暮れていました。

あやりん:看護学生だけでも大変だと感じているのに、家事と育児を両立するのってすごく大変ではなかったですか?

中島:大人になると要領が良くなる気がします。すべてで100点を目指さなくなる。60点取ればいいものは65点とか70点とか。皆が3時間かけてやるものを1時間でやるっていう感じでした。助産師過程のために100%の力でやらないといけない部分もありましたが。ただ、「もうすこし時間があったら全力で取り組めるのに」と若い皆をうらやましくも思っていました。

卒業後のキャリアについて教えて下さい

中島:助産師をめざすきっかけとなった助産院に就職したかったのですが、「まずは病院で経験を積んでほしい」と言われたので、迷わず病院に就職しました。大学の同期は大学病院などを探していましたが、「子育て中の看護職が多い」病院に就職することにしました。
その病院では1年目の新人助産師の時からお産を経験させてくれた場所でした。そこで経験を積んでから、助産師となるきっかけを与えてくれた助産院で4年間ほど働きました。その間に地域の仕事や新生児訪問、パパママ準備教室といった保健師のような仕事もしていたのですが、その中で「0歳児0日死亡」の現状を知り、仲間と一緒に団体を立ち上げました。

どんな助産師でありたいと感じていますか?

中島:私は助産師を目指す過程で「性と生殖の権利」について知りました。 その概念を知ったときに「自分にもある権利だ」とエンパワーメントされた一方で、 全ての人にとても大事なことなのにそれが広く知られていないことに衝撃を受けたんです。

日本では助産師と『お産を助ける人』と書きますが、英語ではmidwife、つまり『女性の間に、傍らに、隣にいる人』という意味があります。

お産の現場も好きだったのですが、段々と女性の生涯にわたる性に関する健康に伴走できるような助産師になりたいと思うようになりました。

ピッコラーレでの活動について教えて下さい

認定NPO法人 ピッコラーレのホームページ

中島:ピッコラーレでは妊娠をきっかけに誰もが孤立することなく自由に幸せに生きていくことができる社会を目指して活動しています。

出産をしてもしなくても、また自分で育てるとしても誰かに育てることを託したとしても、さまざまな困難を抱えていた人が妊娠をきっかけに誰かとつながり、いくつかの困難を手放すことができる経験をして、自分のやりたいことを選択できる自由を感じられる社会になってほしいという想いで創りました。

そのビジョンの実現のために、妊娠葛藤相談窓口をはじめとする窓口の運営、居場所の運営、また政策提言や仲間を増やすための研修などを行っています。

ピッコラーレの活動やそれ以外の講演などでも気を付けていることはありますか?

中島:気を付けていることは3つほどあります。まず、「その人のことをわかった気や理解したつもりにならないこと」です。その人の言ったことやその人の様子は、今のその人でしかなくて、もっと多面的でいろんな側面を持っています。それなのに、その人のすべてを理解したつもりにならないようにと気を付けています。

次に「ジャッジをしないこと」です。相手の考えや決定について、正しいとか正しくないとか自分の価値観を押し付けないようにしています。

最後に、それまでの情報からアセスメントしてきっとこうだろうと先回りするのではなく、どんなに些細なことでも「あなたはどう思う?」と問いかけてみることを大切にしています。

今後の展望について教えて下さい

中島:10年前の自分は今の自分が想像出来ていなかったので、ここからの10年も今は想像出来ないのかなと思っています。それでも、“にんしん”をきっかけに誰もが自由にしあわせに生きられる社会を目指すというビジョンは変わっていない気がします。やっていることは違っても、きっと助産師として妊娠の周辺にあることをやっているんだろうなとは思っています。

あやりん
まだかおりさんのやりたいことが尽きない感じがして、私もワクワクしてきました(笑)「やりたいことは今やる!」といったエネルギーを感じています。

中島:人はいつ死ぬのかわからない、というのが根底にある気がします。人の生き死にってわからないですから。今、この瞬間、みたいなのを大切にしています。食べたいもの食べとけ、やりたいことやっとけ、みたいな(笑)

看護学生へのメッセージをお願いします!

中島:この看たまノートで色々な現場があることを知って 学生のうちから看護師としての人生の面白さにワクワクできたら素敵だなと思います。

自分の身体は自分のもの、自分の人生も自分のもの!
自分で決めて、選んでいいのです。 実習や国試を乗り越えた先の未来で、いつかきっと、あなたがあなたとしていられる場所を見つけて、安心してのびのびと働くことができますように。

☆認定NPO法人ピッコラーレのホームページはこちら➤➤https://piccolare.org/

☆Twitterはこちら➤➤https://twitter.com/piccolare

☆Instagramはこちら➤➤https://www.instagram.com/piccolare/

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