「小児訪問看護師」と聞いて、どんな看護を想像しますか?今回は小児訪問看護師として活躍されている吉居さんをお招きし、これまでのご経験やこれからのキャリアプラン、誰にとっても働きやすいトータルケアさんの魅力についてお話を伺いました。
今回の記事はこんな人におすすめ!
- 看護職を目指す学生
- 訪問看護に興味がある人
- 訪問看護の分野でキャリアアップをしたい人
- 小児に興味がある人
\今回インタビューにご協力いただいたのはこの方!/
専門学校卒業後、大学病院の小児科病棟にて6年間勤務。その後、医療的ケア児を24時間サポート受け入れ可能な株式会社Le-caldoの訪問看護ステーション「トータルケア」へ転職。トータルケアの進学支援を受けて専門看護師の資格取得も視野に入れながら、現在は小児の訪問看護の管理者を担う。小児看護アドバイザーとしての役割も持ち、訪問看護の現場で活躍中。
看護師を目指したきっかけを教えてください
吉居さん(以下、吉居):幼いころから、喘息や心臓の病気などで通院・入院していました。そのときに外来や病棟の看護師が良い理解者になってくれた経験から、小児科の看護師になりたいと思うようになりました。
ーどのような看護学生時代でしたか
吉居:家は埼玉県にあったのですが、学校は都内にあったので一人暮らしをしていました。
週5日バイトして、遊びながら過ごしていました。「看護師=小児科の看護師!」と自分のなかでは思っていたので、小児看護の授業は真剣に聞いていました。ずっと小児科のことしか考えていませんでした。
転職のきっかけを教えてください
吉居:大学病院で5〜6年目はリーダー業務が多くなり、患者を受け持つ時間が少なくなってしまいました。さらに、退院支援の仕事について勉強不足だと感じる場面がたくさんありました。「在宅でどう過ごしているのか知らないと思うけど、大変なんだよ」といろいろなお母さんに教えていただくことが多く、「確かに、退院後の生活を知らないんだよな…」と思ったのをきっかけに、小児訪問看護に興味を持ちました。
小児訪問看護はどんな利用者さんを看ているのか教えてください
吉居:低出生体重児といわれる発育・発達に不安があるお子さんや、自閉症などの発達障害をもつお子さん、24時間ずっと呼吸器をつけて過ごさなきゃいけない重症な子など、幅広く訪問しています。がん終末期で、自宅での看取りを目的とした訪問もあります。ときには、虐待を受けている疑いのあるご家庭に、見回りを主な目的として訪問することもあります。このように、指示書さえあればどんなケースでも訪問に行くことができます。
ー見回りを目的とした訪問看護では訪問したときにどんなケアをされるんですか。
吉居: ケアがないのかな、ということを気にされるかと思いますが、全身状態の観察は小児でも成人でも看護の基本です。
さらに、小児では時期に応じた成長発達への視点も必要です。例えば小さく生まれた子の場合、成長発達が若干ゆっくりだったり、知的面では長い経過の中で見ていくので、そういった確認を目的に訪問します。
全身状態の観察をするときに、「オムツをみようか」「お胸の音を聞くね」と声をかけながら服やオムツを開いて、あざや傷などをチェックします。お母さんと話しながら、タバコが落ちていないか、ポットの位置は危なくないかなどの家庭環境も観察しています。
病棟と訪問看護の違いを教えてください
吉居:一番大きな特徴は患者さん一人ひとりに時間をかけて看護や支援ができるところだと思います。大学病院で働いていたときは1日に何人もの患者さんを看て、気になる患者さんがいてもしっかりと関わることが難しかったです。反対に、訪問看護は90分の訪問時間があったら、その90分全てを対象の患者さんに費やせる、寄り添えるのが一番大きな違いだと思います。
ー訪問看護はトータルケアさんでの挑戦が初めてと聞きました。どのようにして一人で訪問できるまでステップアップされてきたのですか。
吉居:最初はプリセプターのような、メインでフォローするスタッフについてもらい、同行訪問しました。最初は後ろでケアを見るところから、少しずつ一緒にケアに入り、最終的にはスタッフにケアを評価してもらい、合格をもらったら一人で訪問するという流れになります。
吉居さんから見て、「トータルケア」はどんな事業所ですか
吉居:子どもから大人までどんな方でも必要なご家庭には訪問します。このステーションの一番大きい強みは、「断らない」ところだと思っています。ほかのステーションを見ると、「小児の訪問もOK」と言っていても、呼吸器やストーマが付いていたら断ってしまうなど、訪問に行くケースを限定してしまっているステーションもあります。
また、近隣には土日に訪問しないステーションや、24時間対応していないステーションもあります。トータルケアは断らず、いつでも訪問するので、地域のみなさんに安心してもらいたいです。
ーもしトータルケアさんに新卒で飛び込もうと思った場合、どのような教育の面でバックアップか受けられるのかお伺いしてもよろしいですか。
吉居:新卒のスタッフさんには、プリセプターの先輩がつきます。その先輩を中心にある程度グループ分けがあるので、その先輩たちで指導方針を共有しつつ、ご本人とプリセプターと進み具合を確認しています。「HOW TO 訪問看護」というスキルチェックのための用紙をトータルケア独自で用意しています。チェック項目を評価しながら、徐々に知識をつけ、一緒に実施し、一人で実施できるところまでしっかり先輩がサポートします。
ーオリジナルでチェックシートがあるんですね。人事総務の松澤さん、解説をぜひお願いします。
松澤さん:「HOW TO 訪問看護」のほか、トータルケアの看護の責任者がまとめたマニュアルがあります。小児訪問看護のマニュアルは吉居がまとめました。トータルケアでは独自のマニュアルに基づき、段階を追いながらケアをするという教育を行っています。ある程度ベテランの方でわからない・不安なケアがあっても、一度このマニュアルに立ち返り、不足している知識や技術を学び直すこともできます。
この先のキャリアで考えていることを教えてください
吉居:いずれは大学院進学を考えています。トータルケアでは、大学院での認定・専門資格取得を応援する仕組みがあります。資格取得のための進学費用を負担してもらい、資格取得後は規定の年数をトータルケアで働くことで現場に還元するというシステムです。訪問看護ステーションでは、ここまでサポートしてくれる場所はなかなかありません。
私は専門学校を卒業していたので、大学院に進学するためには、大学院の試験を受ける前にまず学士を修得する必要がありました。トータルケアで働きつつ、通信教育で学士(大卒の資格)を取得しました。次のステップとして、小児専門看護師を取得するため、大学院にチャレンジできたらと思い、勉強中です。
ー働いていくうえで何を大切にしていますか。
吉居:やりたいことができる環境かどうかを重視しています。もちろん働きやすいことも大切ですが、それ以上にやりたいことにチャレンジできるかどうかを大事にしています。トータルケアに入職した時、小児専門の上司はいませんでしたが、やりたいことはできる環境だったので勉強すれば大丈夫だと思いました。訪問という部分では上司に聞きつつ、小児の部分は自分の知り合いのスタッフに聞いたり、自己学習で知識を補ったりしてきました。やりたいことができる環境が一番なのかなと思います。
最後に、小児科や訪問看護を目指す看護学生へのメッセージをお願いします
吉居:小児科は、子どもがかわいいと思う一方で、手がかかる、ご家族への対応が大変そうというイメージもあると思いますが、子どもが好きで少しでも興味があるなら飛び込んでみてほしいです。子どもが笑って帰って行く姿、元気になっていく姿を見るのはやりがいなので、小児でも訪問でも興味がある方は飛び込んでみてください。
➤➤https://lecaldo.co.jp/
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